キルティング(読み)きるてぃんぐ(その他表記)quilting

翻訳|quilting

デジタル大辞泉 「キルティング」の意味・読み・例文・類語

キルティング(quilting)

2枚の布地の間に羊毛・羽毛・化繊綿などの詰め物を入れ、刺し縫いにすること。また、そのもの。防寒用衣類や寝具類に用いる。キルト

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「キルティング」の意味・読み・例文・類語

キルティング

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] quilting ) 表布と裏布の間に芯(しん)として羊毛、化繊綿などを入れ、模様縫いにしたもの。また、そのように加工すること。全体に芯を入れてステッチで押さえるものと、部分的に芯を入れて模様を浮き上がらせるものとがある。保温装飾用。防寒用衣類や寝具類などに用いる。キルト。
    1. [初出の実例]「四〇万着のキルティング・ガウンを売り飛ばし」(出典:流行うらがえ史(1965)〈うらべまこと〉一四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルティング」の意味・わかりやすい解説

キルティング
きるてぃんぐ
quilting

表布と裏布の間に、綿または柔らかい羽毛や毛糸などを入れて縫い、模様を浮き上がらせたものをいう。キルティングには、おもに全体に模様を浮き上がらせたイングリッシュ・キルティングと、部分的に模様の中だけに毛糸などを通して浮き上がらせたイタリアン・キルティングアップリケで図案を出し、さらにキルティングした、アメリカン・キルティングがある。

[木村鞠子]

由来

ヨーロッパでは11世紀初期につくられたのが、もっとも古いものといわれている。

[木村鞠子]

使われるステッチ

バックステッチ、チェーンステッチミシン縫いなど。

[木村鞠子]

表布地

柔らかく、ある程度伸縮性のあるものが適する。絹クレープ、デシンブロケードタフタサテン、絹風の交織地、薄手のウール地、カシミヤモスリンなどの無地から柄(がら)ものまで。

[木村鞠子]

裏布地

伸びの少ない布を選ぶ。交織羽二重(はぶたえ)、新モス、薄手木綿地など。

[木村鞠子]

芯にする詰め物

青梅(おうめ)綿、化繊綿、毛糸、柔らかい綿コード(線模様、細いところに使う)など。なお、スポーツウエア、ふとん類には羽毛が使われる。

[木村鞠子]

用途

保温向きのジャケット、スポーツウエア、部屋着、ドレッシーな衣服、子供物など広範囲である。袋物、室内装飾、膝(ひざ)掛け、ふとん類などにも用いる。

[木村鞠子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「キルティング」の意味・わかりやすい解説

キルティング
quilting

2枚の布の間に,綿(わた)または芯,羽毛などをはさみ,ランニング・ステッチでとめつける手芸幾何学模様やさまざまな図柄が立体的に浮彫で表現される。保温と装飾をかね,ベッドカバーなど大きなものから小さな袋類まで活用範囲は広い。2枚の布の間に綿か芯をはさみ,布全体にステッチしたのをイングリッシュ・キルティングといい,図柄の輪郭を2本のステッチで縫い,裏から毛糸などを詰めるのがイタリアン・キルティング。表布にアップリケまたはパッチワークをし,綿か芯をはさみ裏布と3枚重ね,表の図柄にステッチしたのがアメリカン・キルティングまたはパッチワーク・キルトともいう。〈キルト〉という言葉は,14世紀ころにラテン語から出て,マットやクッションなどの詰め袋を意味した。この技法は前200年ころから中国などで用いられていたもので,ヨーロッパへはイスラム地域から十字軍によって伝えられたという。保温や補強のために2枚の布の間に綿を入れて利用することは世界の各地で古くから行われており,日本では火事装束や野良着,運動着などに装飾も兼ねた刺子(さしこ)の技法が使われてきた。
パッチワーク →綿入れ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キルティング」の意味・わかりやすい解説

キルティング
quilting

日本でいう綿入れ刺し子。2枚の布の間に綿,毛糸屑,ゴムないし化学フォームなどをはさみ,上から細かい手縫い,もしくはミシン縫いで留め合せたもの,およびその技法。縫い目によりレリーフ状の矩形,ダイヤ柄,曲線模様を描くことができ,また保温性も兼ねているため,掛けぶとん,ベッドカバー,衣服などに多く用いられる。この技法は東方に発生し,古代エジプト,ギリシア,ローマ,中国などにもみられる。中世ヨーロッパでは防寒用として,軍服の一部に用いられたが,次第に装飾的要素が強くなり,18~19世紀には男女の上・下衣における重厚な飾りとして流行した。今日では手芸的なものは減少し,機械生産のものが多く,主として冬のホームウエア,防寒用外衣に利用される。技法は,全体に綿を入れて模様全体を浮き出させるイギリス式と,部分的に綿を入れて模様の輪郭線のみを浮き出させるイタリア式とに大別される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「キルティング」の意味・わかりやすい解説

キルティング

装飾や保温のため布の間に綿などを入れてランニング・ステッチでとめつける手芸。芯(しん)を全体に入れて刺すイングリッシュ・キルティング,図案の部分だけ芯を入れるイタリアン・キルティングなどがある。またパッチワークをした表布,綿,裏布をはさみ,表布にステッチしたアメリカン・キルティングまたは,パッチワーク・キルトが広く行われている。最近は合繊地に合繊綿を入れミシンステッチしたキルティング布が市販され,軽くて洗濯がきくので寝具,部屋着,ジャケットなどにされる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のキルティングの言及

【パッチワーク】より

…ヨーロッパへは,11世紀ごろサラセン人の技術が十字軍によって伝えられ,壁掛けやテーブルクロスなどに使われた。18世紀にはアメリカの開拓者が耐乏生活の中でありあわせの布をはぎ合わせてパッチワークし,別布と合わせてキルティングにしたベッドカバーなど生活必需品を作った。また女性たちは集まっておしゃべりをしながら作品を作るキルティング・パーティを開いた。…

※「キルティング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android