ギャリック(読み)ぎゃりっく(英語表記)David Garrick

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギャリック」の意味・わかりやすい解説

ギャリック
ぎゃりっく
David Garrick
(1717―1779)

イギリスの俳優、劇場経営者、劇作家。イングランド西部、ヘリフォードに生まれる。師のサミュエル・ジョンソンとともにロンドンに出て、商業に従事したが、舞台に志を向け、1741年リチャード3世役で一躍スターの座についた。小柄で表情豊かな彼は生来喜劇に向いていたが、リア王やマクベスなど悲劇にも天分をみせ、18世紀最大の役者となった。また、早くからドルーリー・レーン劇場の経営も手がけ、同劇場を当代ヨーロッパの代表的劇場に仕立てあげた。劇作家としては、チマローザ作曲のオペラ化で有名な『秘密の結婚』(1766、G・コールマンGeorge Colman, the Elder(1732―1794)との共作)のほか数編の創作劇、シェークスピア作品などの翻案がある。

[中野里皓史]

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改訂新版 世界大百科事典 「ギャリック」の意味・わかりやすい解説

ギャリック
David Garrick
生没年:1717-79

イギリスの俳優,劇作家。1741年,シェークスピアの《リチャード3世》の主役を演じて一躍人気を得,その後ハムレット,マクベス,ロミオ,リア王など,シェークスピア悲劇の人物の表現では当代最高と評される一方,喜劇でも実力を発揮した。彼はそれまでのおおぎょうで型にはまった演技に代わって,自然で細緻な演技を尊重し,イギリスにおける近代的演技術の創始者となった。ロンドンの代表的劇場ドルーリー・レーン支配人を,47年から76年の引退まで務める。この間,舞台に観客を上げるしきたりを廃し,観客には見えないところに照明の光源をおいたり,リアリスティックな風景を描いた垂れ幕を舞台奥につるすなど,演劇近代化につながる数々の改革を行った。戯曲では,ジョージ・コールマンとの共作《秘密結婚》(1766初演)が最も有名。シェークスピアの戯曲を当時の観客向きに改作したことでも知られる。
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百科事典マイペディア 「ギャリック」の意味・わかりやすい解説

ギャリック

英国の俳優,劇作家。1747年ドルリー・レーン劇場に迎えられ,幾多の名舞台を残した。その写実的演技が演劇の近代化に果たした役割は大きい。劇作家としてはジョージ・コールマンとの共作《秘密結婚》など。

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世界大百科事典(旧版)内のギャリックの言及

【ノベール】より

…バレエの改革者として重要で,著書《舞踊とバレエについての手紙》(1760)に述べられた理論は今日いまだに有意義である。イギリスの俳優ギャリックと親交を結び,その教えを受けて,バレエ・ダクシヨンballet d’actionを創始した。これは歌や台詞を使わず,黙劇的演技(マイム)により物語の筋や劇的行為を表現するもので,今日の舞台芸術としてのバレエの基本形となった。…

※「ギャリック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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