翻訳|quicksand
砂が浸透水の上昇流の影響で液体に似た状態となる現象。地下深く掘削する工事のとき,矢板などで周囲の地下水を遮断しながら掘削個所だけを排水しつつ掘り進むと,周りの地下水の圧力で掘削底面から地下水が上昇流として勢いよく出てくるようになり,そのとき,掘削底面の砂がクイックサンド状態となって,事故を起こす原因となることがある。それを防ぐためには,周辺の地下水もある程度排水して,掘削底面からの浸透水の勢いを下げればよい。地震時に,水で飽和した緩い砂が液状化することもよく知られており,1964年の新潟地震のときにその現象が見られた。すなわち,新潟市の緩い砂地盤が地震で揺すられたとき,砂の間隙を満たしていた水が砂粒子の間を勢いよく地上へ押し出されながら砂を液状化したため,地中のマンホールは地上へ浮き上がり,地上の建物は傾いたり倒れたりした。
執筆者:植下 協
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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