ドイツの教育学者。フェーギスハイムの生れ。師範学校卒業後,20年間小学校教師として働きながら,民族誌,教育学,文化史等の研究に励み,1923年ハイデルベルク大学から名誉学位(哲学)を授与された。28年にフランクフルト・アム・マインの教育大学教授に就任,34年にはハイデルベルク大学教授となり,それ以降ナチス・ドイツの教育界における最高指導者として活躍した。教育学史上に特筆さるべきは,その教育科学論であろう。彼は従来の教育学を当為的課題にしばられた技術学であると批判し,社会的根本機能としての教育事実の客観的認識と究明を任務とする純粋教育科学を提唱したが,この点はデュルケームと類似した主張として注目される。しかし民族とその機関である国家を教育の最高原理とする彼の民族共同体的理論は,時代の政治的潮流とも重なり,ナチス国家の御用理論の役割を果たした。彼の教育理論は第2次大戦にかけての国家主義的風潮の中で,日本の教育学界にも影響を及ぼした。
執筆者:平野 正久
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…この教育の科学は社会学的方法により変化の法則性を認識しようとするものであり,明らかに旧来の教育学とは違う。ドイツの教育学者E.クリークも,〈教育科学は教育とは何であるか,教育はいかにして行われるかを問うところから始まるのに対し,教育学は私は教育者として何を為さなければならぬかを問う〉とした。このように19世紀から20世紀にかけて教育科学が提唱されたが,それによって旧来の教育学が志向していたものを無視してよいということにはならない。…
※「クリーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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