クロカジキ(英語表記)Makaira mazara

改訂新版 世界大百科事典 「クロカジキ」の意味・わかりやすい解説

クロカジキ
Makaira mazara

スズキ目マカジキ科の海産魚。クロカワともいわれる。その名のとおり背面が黒っぽい。英名blue marlinで,背面の青みのほうを強調している。体色は背面が黒紫青色で,腹面は銀白色,体側には十数条のコバルト色の横縞がある。太平洋インド洋海域の熱帯から亜熱帯にかけて分布し,同属のシロカジキM.marlinaと並んで熱帯性が強い。日本近海には夏出現する。雌雄によって大きさが著しく異なり,雌は全長4.5m近くになるのに対し,雄は2mを超すことはない。産卵期は赤道では一年中であるが,台湾近海では5~7月の時期。雄が赤道をはさんで南北回遊するのに対し,雌は大規模な移動をしない傾向がある。餌はカツオやマグロ類の幼魚,アジ類,ヒイラギなどの表層性魚類が多く,捕食されたカツオには吻(ふん)で突き刺された穴があるという。マグロはえなわ,大目流し,突ん棒で漁獲され,刺身魚肉ハム原料となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロカジキ」の意味・わかりやすい解説

クロカジキ
くろかじき / 黒梶木
blue marlin
[学] Makaira mazara

硬骨魚綱スズキ目マカジキ科に属する海水魚。太平洋、インド洋の熱帯、亜熱帯の海に分布する。背部が黒紫色で腹部褐色を帯び、全体的にマカジキよりも黒っぽい。名はその体色に由来し、クロカワカジキまたは単にクロカワともよばれる。カジキ類ではもっとも大形で、全長は長い吻(ふん)を含み約4メートルに達し、雌が雄よりも大形。食餌(しょくじ)はイカや小魚で、カツオなど大形の魚も捕食しカツオクイの異名がある。夏には日本近海にも回遊する。大西洋に分布するニシクロカジキは現在では同一種とされている。

[上柳昭治・小倉未基]


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百科事典マイペディア 「クロカジキ」の意味・わかりやすい解説

クロカジキ

マカジキ科の魚。クロカワ,クロカワカジキとも。マカジキに似るが,体色は黒っぽい。雌は全長4.5m近くになるが,雄は2mを超えない。本州中部以南の太平洋〜インド洋に分布。突ん棒などで漁獲され,刺身や魚肉ハムの原料となる。味はマカジキに劣る。近縁種のシロカジキ(シロカワとも)は全長4.5m,皮膚はやや白っぽく,胸びれは立ったままでねかすことができない。台湾近海で多量に漁獲され,刺身などによい。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロカジキ」の意味・わかりやすい解説

クロカジキ
Makaira mazara

スズキ目マカジキ科の海水魚。別名クロカワ。食用。全長 3m内外。体は長く,側扁し,上顎が突き出し吻状となっていて下顎の2倍以上もある。背鰭は第1軟条が最も長い。腹鰭は紐状。鱗は皮下にあり細長く小さい。外洋性で,南日本のほか,太平洋ならびにインド洋の熱帯海域に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のクロカジキの言及

【カジキ】より

…おもに全世界の熱帯から温帯にかけての外洋部に生息する。太平洋,インド洋,大西洋に共通な種類はメカジキXiphias gladius(イラスト)のみで,インド洋・太平洋域にはマカジキTetrapturus audax(イラスト),フウライカジキT.angustirostrisバショウカジキIstiophorus platypterus(イラスト),クロカジキMakaira mazara,シロカジキM.indicaが,大西洋域にはニシマカジキT.albidus,チチュウカイフウライT.belone,クチナガフウライT.pfuegeri,ニシバショウカジキI.albicans,ニシクロカジキM.nigricansが分布する。 メカジキは一見したところマカジキ科の魚に似るが,形態的にも生態的にも異なる。…

【カジキ】より

…おもに全世界の熱帯から温帯にかけての外洋部に生息する。太平洋,インド洋,大西洋に共通な種類はメカジキXiphias gladius(イラスト)のみで,インド洋・太平洋域にはマカジキTetrapturus audax(イラスト),フウライカジキT.angustirostrisバショウカジキIstiophorus platypterus(イラスト),クロカジキMakaira mazara,シロカジキM.indicaが,大西洋域にはニシマカジキT.albidus,チチュウカイフウライT.belone,クチナガフウライT.pfuegeri,ニシバショウカジキI.albicans,ニシクロカジキM.nigricansが分布する。 メカジキは一見したところマカジキ科の魚に似るが,形態的にも生態的にも異なる。…

※「クロカジキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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