淡水に生息する緑藻の一種。高血圧や高脂血症の患者に効果があったとする研究報告もあるが、国立健康・栄養研究所は、人間に対する有効性については「信頼できるデータが見当たらない」としている。日本健康・栄養食品協会が自主規格に適合すると公表しているクロレラ製品は約40種。帝国データバンクによると、サン・クロレラ販売は1973年設立。2013年12月期決算の売上高は91億円。
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緑藻植物、オオキスタ科のプランクトン性淡水藻。鮮緑色で、微小な球形あるいは卵形の単細胞体。径10マイクロメートル以下の微小粒体は無鞭毛(むべんもう)で遊泳力がなく、個々が離れ離れとなって、水中に浮遊分散して生育する。日本各地の淡水域に普遍的に分布し、1年を通じて出現するが、とくに夏季に旺盛(おうせい)な繁殖がみられる。繁殖法は、体内容が分割して内部に自生胞子をつくるという無性的な増殖を繰り返すだけなため、急速に殖えていく。クロレラは魚貝類の餌料(じりょう)となり、また光合成を行って酸素を発生するなどの作用があるので、水中でのクロレラ密度が適度である間は、魚貝類生活へのよい環境づくりに役だっているが、クロレラ密度が過密になると、いわゆる「鼻上げ・水変り」という状態がおきて魚貝類を一斉に殺すという惨状を呈することもある。
一方、クロレラ体中にはクロロフィルが多く含有され、また、水中に一様に浮遊させるということも容易なため、古くから光合成研究の好材料として使用されてきた。このため、クロレラの培養条件なども早くからわかっており、培養液の処方を変えると、タンパク質あるいは脂肪の含有量の多い体にすることができる。また、生産量も、水中を立体的に使用できるために、平面的にしか使えない田畑の食糧生産よりも計算上は効率がよいなどの論が生まれ、人類の未来食糧として喧伝(けんでん)されたこともあった。しかし実際には、生産原価がきわめて高くつく、不消化分が多い、嗜好(しこう)にあわないなどの点で、人類の食糧としては不向きであることが判明した。しかしながら、こうした諸研究を通じて、やや科学的実証の欠ける面もあるが、実用面では、(1)乾燥粉末体を食べ続けると健康を保つに有効、(2)含クロレラ池水は家畜の飲料また飼料として有益、(3)クロレラ抽出液には、乳酸菌の生育を促進するある種のホルモン的物質、あるいは人間の皮膚の保健に効果のある物質を含む、などが喧伝されており、しばしば諸種の商品に「クロレラ」の名が冠せられている。
なおまた、水産の分野では、水産動物類の「卵の孵化(ふか)→稚児→種苗→成体」の諸過程を一貫して人工管理下に行う養殖業が普及しているが、初期稚児時代の餌料としてクロレラが使われている。
[新崎盛敏]
緑藻類のクロロコックム目クロレラ科に属する単細胞藻類で,細胞は球形または楕円形,大きさは5~10μmである。葉緑体は通常カップ状で,光合成によりデンプンを生成する。1919年O.H.ワールブルクが培養した淡水産のクロレラを光合成の研究に用いて以来,広くこの分野の研究材料に用いられるようになった。生殖には無性生殖のみが知られ,生長した細胞は,内容が分裂して通常4個の娘細胞となる。娘細胞は母細胞の細胞壁が破れて放出され,生長して新個体となる。生育の初期における細胞を暗細胞(D),光合成により生長肥大した細胞を明細胞(L)とすると,生活環はD→L,L→nDのように表される。nは1個の明細胞から生ずる暗細胞の数で,初期の細胞に生ずる娘細胞の数に相当する。この生活環は生理学的・生化学的変化に基づいて7段階に分けられるが,この研究の発展は生活環の同時期の個体を同時に集めるいわゆる同調培養法の完成に負うところが大きい。クロレラは池,沼,金魚鉢のなかなどに生育し,しばしば水を緑色にかえる。自由生活するものと,無脊椎動物に内生するものとがある。クロレラは,その光合成速度は高等植物の数十倍であり,また一般の栽培植物の太陽エネルギー利用効率が0.5~2%であるのに対し,3~10%にも達する。乾燥藻体100g当りタンパク質40~50g,脂質10~30g,炭水化物10~25gを含み,とくに必須アミノ酸のリジンとメチオニンが豊富であることから,クロレラは〈微生物タンパク〉として注目され,大きな培養池で培養された藻体が年間約300t日本で市販されている。また,クロレラと好気性細菌を用いた廃水処理の技術も開発されている。
執筆者:駒形 和男+千原 光雄
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緑藻綱ChlorophyceasのChlorococcales目に属する単細胞緑藻.光合成能を有するクロレラの物質生産力はすぐれており,牧草アルファルファの4.5倍,タンパク質のみで比較すると大豆と小麦の50倍近い.良質のタンパク質を豊富に含むので,食糧化や飼料化が試みられている.ビタミンやミネラルにも富む.乳酸菌成長促進因子は乳酸菌飲料の製造に利用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…ちなみに海藻で知られた最深の生育記録は199m(褐藻ツルアラメ)である。緑藻のクロレラや黄緑藻のフウセンモのように,土壌中や土壌の表面に生育するものや,緑藻のスミレモやクロロコックムのように,岩上や樹木の表面に生育するものもある。またラン藻のネンジュモのある種のように,ソテツやツノゴケなど他の植物の組織内に生育するものもある。…
… 淡水藻の中には食用として利用されるものがある。おもなものにタンパク質を多量に含み栄養価の高い緑藻のクロレラとラン藻のスピルリナ,美味で干しノリまたはあえ物や吸物などの具として珍重される緑藻のカワノリ,ラン藻のスイゼンジノリとカワタケNostoc verrucosum (L.) Vaucher,中国料理に使われるハッサイ(髪菜)Nostoc commune Vaucher var.flagelliformis (Burk.et Curt) Bornet et Flach.などがある。とくにクロレラとスピルリナは光合成による高い生産性を示すので食品として注目を集め,すでに人工養殖が企業化されている。…
※「クロレラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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