必須アミノ酸(読み)ひっすあみのさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「必須アミノ酸」の意味・わかりやすい解説

必須アミノ酸
ひっすあみのさん

食品タンパク質の構成アミノ酸は約20種あり、そのうち栄養上とくに重要なアミノ酸を必須アミノ酸、または不可欠アミノ酸とよぶ。必須アミノ酸はどの1種が欠けても、発育成長、体の維持に影響し、成長を停止したり、窒素平衡をマイナスにする。必須アミノ酸は体内でまったく合成されないか、合成されても非常にわずかであるため、食事からかならず摂取しなければならないアミノ酸である。

 必須アミノ酸はイソロイシンロイシンリジンメチオニンフェニルアラニントレオニントリプトファンバリンヒスチジンの9種である。またシスチンはメチオニンの一部を、チロシンはフェニルアラニンの一部を代替できるので、メチオニン+シスチン、フェニルアラニン+チロシンの合計量を計算する。食品タンパク質の栄養価は必須アミノ酸の量によって決まってくる。必要量に対してもっとも不足する必須アミノ酸を第一制限アミノ酸とよび、二番目に不足するアミノ酸を第二制限アミノ酸とよぶ。リジン、メチオニン、トリプトファン、トレオニンの4種の必須アミノ酸が制限アミノ酸になることが多い。

 必須アミノ酸以外のアミノ酸を非必須アミノ酸とよぶ。非必須アミノ酸は体内で合成されるので、かならず食事からとらなければならないものではないが、必須アミノ酸のみの場合より非必須アミノ酸を加えたほうが成長もよいので、不必要なアミノ酸という意味ではない。アルギニングルタミン酸などがその代表である。

[宮崎基嘉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「必須アミノ酸」の意味・わかりやすい解説

必須アミノ酸
ひっすアミノさん
essential amino acid

不可欠アミノ酸ともいう。他のアミノ酸から体内において生合成できないか,合成速度が極度に遅くて必要を満たせないアミノ酸をいい,動物の種によって多少異なる。成人ではロイシン,イソロイシン,バリン,トレオニン,リジン,メチオニン,フェニルアラニン,トリプトファンの8種。幼児ではほかにヒスチジンとアルギニンが加わる。必須アミノ酸は栄養として摂取する必要があり,これらの含有量蛋白質の栄養価の目安となる。これらを含まない蛋白質ばかりの偏食は,障害を生じることがある。

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