クワ科(読み)クワか(その他表記)Moraceae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クワ科」の意味・わかりやすい解説

クワ科
クワか
Moraceae

双子葉植物イラクサ目の1科。世界の熱帯,亜熱帯を中心に 50余属 1300種以上が知られる。大部分は高木ないし低木で,特にイチジクFicusなどでは熱帯で巨木となるものが多い。また,この属をはじめ,ゴム質の乳液を分泌する種類が多い。葉は互生して托葉がある。花は小型であるが多数密集して穂状,頭状あるいは壺状 (イチジク状) の花序をつくる。雌雄の花は別で,花被片はともに4枚,雄花ではおしべ4本が花弁と対生し,雌花ではめしべが1本ある。果実は痩果液果核果などさまざまであるが,しばしば花托などと癒合して複雑な集合果となる。特にイチジク属では花序全体が壺形となって肥大し,内部に無数の痩果を包んでいて独特の果実 (果嚢,イチジク状果) をつくる。クワ属 Morusの数種がカイコの食葉として養蚕上重要なほか,コウゾ (楮)は製紙原料,パンノキは熱帯果樹として重要であり,イチジクインドゴムノキも代表的な種類である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クワ科」の意味・わかりやすい解説

クワ科
くわか
[学] Moraceae

双子葉植物離弁花類。多くは木であるが、まれに草もある。体内に乳管があり、傷つけると乳液を出す。葉は単葉で托葉(たくよう)がある。雄花と雌花とがあり、しばしば退化した雌花が混じる。雌雄異株のものも多い。雄花は2~6枚の花被片(かひへん)と、それと同数で花被と対(つい)をなす雄しべからなる。雌花は3~5枚の花被片に包まれ、柱が2裂(ときに1片は退化)する1本の雌しべがある。

 果実は小形の核果または痩果(そうか)であるが、多数が集まって液質に肥大した花被に包まれ集合果をつくるか、壺(つぼ)状の花序軸に包まれたいちじく状果をつくるものも多い。熱帯から温帯に分布し、50属約1400種知られる。日本にはコウゾ属、イチジク属、クワ属など5属23種が野生する。アコウガジュマルなどは日本の亜熱帯を代表する木であり、パンノキ属は熱帯の食用果樹として知られる。

山崎 敬]


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世界大百科事典(旧版)内のクワ科の言及

【クワ(桑)】より

…クワ科クワ属の植物の総称。葉はカイコの飼料として用いられるが,果実は食用になる。…

※「クワ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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