改訂新版 世界大百科事典 「グリーンバックス」の意味・わかりやすい解説
グリーンバックス
greenbacks
南北戦争中の1862年に発行が認可されたアメリカ財務省紙幣の名称。グリーンバックということも多く,紙幣の裏面が緑色のインキで印刷されていたことが名称の由来である。南北戦争の戦費調達に困った財務省に対して,議会は62年2月に1億5000万ドルの合衆国紙幣の発行を認め,同年7月,63年1月と3月に合計3億ドルの追加発行を認めた。実際には4億3100万ドルが発行された。同紙幣は金もしくは銀準備をもたず,法貨legaltenderであると宣言されたにすぎない法定不換紙幣である。グリーンバックスの回収問題はその後20年間激しい政治的論争点となり,結局78年5月に議会はグリーンバックスの未済額3億4668万ドルを通貨として恒久的に流通させることに決定した。なお現在グリーンバックスという用語はしばしば通常のアメリカ紙幣のために使用されるが,それは,それらの紙幣が片面が緑色のインキで印刷されているからである。
執筆者:伊東 政吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報