グレーターマンチェスター(英語表記)Greater Manchester

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

グレーターマンチェスター
Greater Manchester

イギリスイングランド中北部の地域名。ウィガンオールダムストックポートソルフォードテームサイドトラフォードベリーボールトンマンチェスターロッチデールの 10地区からなる。中心都市マンチェスター。1974年の行政改革により,それまでのランカシャー県の南東部とチェシャー県の北東部をもって特別県として新設されたが,1986年に廃止され行政機能を失った。東部はペナイン山脈南部の高原地帯で,斜面を覆う夾炭層(→炭層)が低い台地を形成。西部は漂礫土に覆われた低地からなり,ペナイン山脈に発するマージー川が西流する。16世紀頃から毛織物の生産が盛んとなって発展し始め,17世紀半ばには綿織物工業が始まり,ファスティアン織と呼ばれる綿布を特産。18世紀以降,機械制と工場制の確立によりイギリス最大の綿織物工業地帯となり,マンチェスターを中心にボールトン,ベリー,ロッチデール,オールダムなどの町が急速に発展。19世紀には蒸気機関の導入とともに炭田地帯の大規模な開発が始まり,炭鉱集落が多数形成された。さらに 1894年のマンチェスターシップ運河完成により輸送力が増強され,食品その他の工業も発展し始めた。20世紀に入ってからの大不況綿工業の長期的衰退傾向は,マンチェスター工業の構造転換と多様化を促進し,機械,化学電機,食品などの工業が発達した。都市部は重要な金融,行政の中心地となり,郊外の田園地帯は住宅地として発展。マンチェスターのドックに隣接するトラフォードパークは世界で最初の工業団地の一つ。面積 1276km2人口 254万7600(2005推計)。

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