改訂新版 世界大百科事典 「ケニアピテクス」の意味・わかりやすい解説
ケニアピテクス
Kenyapithecus
ケニアとトルコで発見された1500万~1400万年前の化石類人猿。1962年にL.S.B.リーキーは,ケニアのフォート・ターナンで発見された類人猿(1400万年前)をケニアピテクス・ウィッケリK.wickeriとして記載した。彼は,小さな犬歯と厚い歯のエナメル質から,それがラマピテクスRamapithecus同様に初期人類であると主張したが,これは誤りであることが明らかになった。ウィッケリの名前は,それが発見された農場の名前にちなむ。1967年,リーキーは,ビクトリア湖のマボコ島から発見されたケニアピテクス・アフリカヌスK.africanusを記載したが,これは,99年にS.ウォードらによって別属エクアトリウスEquatoriusに移された。2008年には,J.ケリーらによって,トルコのパシャラルから発見された類人猿(1500万年前)の一種が,ケニアピテクス・キジリK.kiziliとして記載された。キジリはトルコ語で赤を意味し,地層の色にちなんでつけられた。ケニアピテクス・ウィッケリは,他のアフリカ中期中新世類人猿同様に,厚いエナメル質や頑丈な顎をもつが,上顎や犬歯の形状でやや現生類人猿的な特徴を示す。
執筆者:中務 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報