ソ連の政治家。2月21日サンクト・ペテルブルグの旋盤工の家庭に生まれる。赤軍従軍後、1927年シベリアの消費組合で活動中に入党。1935年レニングラード(ペテルブルグ)繊維大学卒業、繊維工場勤務を経て、1938年にレニングラード市長。1939年1月繊維工業人民委員として初入閣。翌1940年副首相。1943年からロシア共和国首相、ソ連蔵相、軽工業相などを兼務。党でも1946年に政治局員候補、1948年に政治局員。1953年3月のスターリンの死後、一時、最高指導部を離れるが、まもなく返り咲き、1960年には第一副首相兼党中央委幹部会員。1964年10月のフルシチョフ解任後、首相に就任。利潤方式の導入による経済改革や消費物資の増産、インド・パキスタン紛争の調停(1966)、ジョンソン米大統領との会談(1967)、周恩来(しゅうおんらい/チョウエンライ)中国首相との会談(1969)などによる国際緊張の緩和に努める。1970年代末、健康状態の悪化により1980年10月、首相と党政治局員の地位を去り、同年12月18日死去。晩年は、ソ連の経済成長率の低下、米ソ関係の悪化、ブレジネフの権力強化などにより影が薄かった。
[中西 治]
ソ連の政治家。ペテルブルグに生まれ,1927年からの共産党員。35年繊維専門学校修了後軽工業の指導にあたる。党内では39年から党中央委員,スターリンの晩年および60年以後はソ連邦最高幹部会会員,政治局員。大粛清後台頭した典型的テクノクラート的党官僚で,1939年から繊維工業人民委員,40年からは人民委員会議議長代理,ロシア共和国人民委員会議議長(1943-46),戦後はソ連邦閣僚会議議長代理や財務相,軽工業相,ゴスプラン議長などの経済職等を歴任し,60年からは閣僚会議第一副議長(副首相)となった。64年のフルシチョフ失脚後,首相職である議長となり,党務についたブレジネフ書記長とともに権力を分掌した。65年9月には計画や管理面での企業の分権化をはかる経済改革(コスイギン改革)を党中央委員会に提案,その推進にあたったが,これは政治構造に手を触れることなく,60年代末までに挫折した。また60年代後半には国際面でも活躍し,ジョンソン米大統領やウィルソン英首相といった西側首脳と平和共存をはかる会談を行ったのをはじめ,インド・パキスタン紛争を調停し,69年には周恩来と中ソ関係の悪化の回避を話し合った。80年10月に病気によりチーホノフに首相職を譲った後,12月に死亡,赤の広場に葬られた。
執筆者:下斗米 伸夫
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1904~80
ソ連の政治家。1930年代に大学で学び,繊維技師,工場長となった。39年繊維工業人民委員に抜擢され,40年副首相。60年に第一副首相,党中央委員会幹部会員となり,64年フルシチョフ退陣後,首相(在任1964~80)となった。
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…この結果,64年10月,フルシチョフはその部下たちによって抜打ち的に辞職を強いられるにいたった。
[ブレジネフ期]
フルシチョフに取って代わったのは,ブレジネフ党第一書記とコスイギン首相といった党と政府機構の上層幹部の代表者であった。彼らはスターリンの〈上からの革命〉で上昇し,フルシチョフの〈スターリン批判〉でテロルの恐怖から解放された人々であった。…
…1957年モロトフら旧スターリン主義者を反党グループ事件で解任したフルシチョフは,首相を兼ね,61年には第2次スターリン批判を行うと同時に,新しい綱領で共産主義社会への前進をうたいあげた。しかし農政の失敗などで彼の指導の恣意(しい)性・主観主義を懸念した党幹部たちは,64年10月フルシチョフを解任し,ここに党務をブレジネフ(やがて書記長),首相をコスイギンに分掌させる集団指導体制が成立した。1960年代にはチェコスロバキアにおける改革運動〈プラハの春〉を武力介入で抑えるが(チェコスロバキア事件),スターリン復権にはふみきらなかった。…
※「コスイギン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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