コリトサウルス(読み)こりとさうるす(その他表記)corythosaur

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コリトサウルス」の意味・わかりやすい解説

コリトサウルス
こりとさうるす
corythosaur
[学] Corythosaurus casuarius

鳥盤目鳥脚(ちょうきゃく)類(亜目エウオルニソポッド類(真鳥脚類)イグアノドン類Iguanodontiaイグアノドン上科Iguanodontoideaハドロサウルス科Hadrosauridaeラムベオサウルス亜科Lambeosaurinaeに属する恐竜。北アメリカ西部の白亜紀後期、約7705万年~7060万年前の地層から産出した草食恐竜で、全長約9メートル。カモノハシ竜の仲間。この属は、とさかが大きな半円形を示しており、属名はギリシア語で「ヘルメット・トカゲ」の意味である。ラムベオサウルス亜科のほかの属と同じように、とさかの内部には前上顎骨(じょうがくこつ)と鼻骨があるが、長い鼻道が通っている。普通、嗅覚(きゅうかく)細胞は鼻の穴の内側の上皮にある。ほとんどの爬虫(はちゅう)類では嗅覚上皮細胞に覆われている表面は比較的小さいので、もしカモノハシ竜が嗅覚に頼っているとしたら、それを発達させる唯一の方法は鼻の通路そのものを長くすることである。脳の形が知られているすべての恐竜で、嗅覚が発達していることがわかっているが、これは餌(えさ)のにおいや、敵や仲間のにおいを認めることが重要であったからであろう。とさかは視覚的ディスプレーや鳴き声の共鳴器官として使われていたと考えられている。フレンチ・ホルンに似た音を出したのかもしれない。かつては多くの種類が別種や別属に分類されたが、1970年代なかばに、同種中の個体によってとさかの大きさが異なることが判明し、種による差ではなく、むしろ年齢や性別による差であろうと考えられている。皮膚の痕跡(こんせき)が化石化した尾椎(びつい)のところに保存されていた例がある。小結節がモザイク状にびっしりと集まったもので、長経4センチメートルほどの骨片もあった。ラムベオサウルス亜科の頭部は、ハドロサウルス亜科に比べて短く、幅も狭く、歯の数もやや少なかったが、それでもコリトサウルスでは600本以上の頬歯(きょうし)があった。一般にカモノハシ竜類では、尾骨の胴に近いところの神経棘(きょく)の骨折と尾骨の融合が目だつが、こういう傷は交尾行動に関係があるといわれる。その理由は、雌のきゃしゃな神経棘の先端と尾に、雄の体重がかかった結果であると推測されている。

[小畠郁生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コリトサウルス」の意味・わかりやすい解説

コリトサウルス
Corythosaurus

白亜紀後期の北アメリカやヨーロッパなどに生息していた2本肢の草食恐竜。体長 12m,体重 4tといわれる。爬虫類鳥盤目鳥脚類ハドロサウルス科に属するカモノハシ恐竜の一つで,ヘルメット状に突出した冠の頭蓋骨をもつ種類である。属名の語源はギリシア語で「ヘルメットのトカゲ」という意味。突起の中は鼻孔であるが,その機能については,(1) 空気貯蔵室,(2) 鼻管内側の嗅覚上皮細胞の表面積拡張,(3) 共鳴室などの諸説がある。コリトサウルスはおそらく川や湖の近くで,広葉や針葉樹類の葉や小枝を平たい嘴で食べていた。危険な動物の接近をかぎ分けると,互いに叫び合図を送りつつ水中へ退却したのであろうとされ,沼沢地を好んだといわれる。皮膚の化石は,多角形で瘤状ないし円錐形の鱗片が集ってできていた。

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デジタル大辞泉プラス 「コリトサウルス」の解説

コリトサウルス

白亜紀後期に生息した鳥盤類鳥脚類の草食恐竜。全長約9メートル。名称は、頭部の形状が古代ギリシアのコリント兵の兜を思わせるところから。

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