コレヒドール(英語表記)corregidor

精選版 日本国語大辞典 「コレヒドール」の意味・読み・例文・類語

コレヒドール

  1. ( Corregidor ) フィリピンのルソン島南部、マニラ湾湾口にある小火山島。一八世紀スペイン要塞が建設され、二〇世紀以後はアメリカ合衆国軍事基地が置かれていた。第二次世界大戦初期、日米の激戦地

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改訂新版 世界大百科事典 「コレヒドール」の意味・わかりやすい解説

コレヒドール
corregidor

スペインおよびその植民地でみられた直任官吏の一つ。中世後期,スペインのカスティリャ王国は政治的・社会的混乱に陥り,都市自治体においては,寡頭支配層の党派的争いや,彼らと都市住民の対立が激化した。このような情況の中で王権は,都市自治への介入を強め,直任官吏を都市へ派遣した。この役人をコレヒドールと呼ぶ。彼らは自治体選出の裁判官と執行吏の役職を停止し,代わって自らが裁判官になる場合と補佐裁判官を置く場合があったが,いずれにしろ裁判権・警察権を掌握し,市会の主宰者として自治体統治機構の頂点に立った。当初その任期は1年で,派遣対象都市も限られていたが,王権の伸張とともに漸次普及していき,15世紀末にはカスティリャ王国の全都市に対して2年交代制で継続的に派遣されることになった。この制度は,近世カスティリャ王権の地方統治のかなめとなり,さらに18世紀にはアラゴンの諸王国にも適用された。その廃止は,1835年である。
執筆者: スペイン領植民地では,コレヒミエントという地方管轄区を統べる国王任命の官吏をいう。任期は原則として3年。1530年の勅令により,原住民インディオの保護とエンコメンデロエンコミエンダ)の勢力台頭防止を目的として,ヌエバ・エスパーニャ(現,メキシコ)に新設され,のち植民地一帯に設けられた。アウディエンシアに従属し,その任務は年に1度の管轄区視察,エンコメンデロの義務遂行の監視,インディオ間もしくはインディオとエンコメンデロ間の民事・刑事訴訟を管轄,インディオからの租税の徴収,インディオの改宗の促進,街道や宿駅の維持など多岐にわたった。エンコメンデロ,土地および鉱山所有者,植民地官吏の親族はコレヒドールにはなれず,コレヒドールは商行為や,インディオの私的利用を禁じられた。しかし,実際にはしばしばエンコメンデロと共謀してインディオを虐待した。18世紀後半,インテンデンシアが導入された結果,コレヒドールの官職は消滅した。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コレヒドール」の意味・わかりやすい解説

コレヒドール
corregidor

スペインおよびスペイン領アメリカ植民地の地方行政官。原則として3~5年の任期で一定地域 (コレヒミエント) の司法,行政を担当した。コレヒドールには2つのタイプがあり,その1つコレヒドール・デ・インディオスは,植民地の最高行政官である副王に任命され,インディオの町に住み,インディオに関する事柄を監督,他の1つはコレヒドール・デ・エスパニョレスで,国王によって任命され,スペイン人植民者の町に住み,町役場を監視した。特に前者は強大な権力をもちしばしば苛政を行なったため,18世紀には国王監察官制が設置された。

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百科事典マイペディア 「コレヒドール」の意味・わかりやすい解説

コレヒドール[島]【コレヒドール】

フィリピンのルソン島南西部,マニラ湾口にある火山性の島。海峡を隔ててバターン半島に対し,マニラの防衛上の要点をなす。18世紀にはスペインの要塞(ようさい),20世紀以後は米国の軍事基地となる。太平洋戦争中の1942年4〜5月,日本と米・フィリピン連合軍の最激戦地となった。現在は米軍要塞や軍舎などを記念公園として外国人向け観光地となっている。約5km2

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世界大百科事典(旧版)内のコレヒドールの言及

【ラテン・アメリカ】より

…その際,アウディエンシアの長官は統治者として行動したが,一般に軍事的権威は副王に留保されていた。一方,地方行政は普通コレヒドールと呼ばれる王室官吏に任され,彼らはそれぞれの領域内で最高の司法および行政権を行使し,カビルドでは国王の利害を代表した。コレヒドールにはスペイン人の町を統轄するものと王室への貢納義務を負う先住民インディオの村や町を治めるものの2種類があり,後者はコレヒドール・デ・ロス・インディオスと呼ばれ,任期は3年で,白人による不正行為からインディオを保護することを主要な任務とした。…

【レパルティミエント】より

…(3)商業レパルティミエント。地方官コレヒドールが職権を濫用して,管轄地域の原住民に物財を強制的に売りつける慣行をいう。いくつかの地域では,地方官がやがて商人の代理人となり,資金や原料を強制的に原住民に貸し付けて特定商品を生産させ,これを買い取るようになる。…

※「コレヒドール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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