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コールリッジ Coleridge, (David) Hartley

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コールリッジ
Coleridge, (David) Hartley

[生]1796.9.19. ブリストル
[没]1849.1.6. グラスミア
イギリスの詩人。 S.T.コールリッジの長子。幼時より俊敏な頭脳と奇行で注目をひいたが,オックスフォード大学のフェローの地位も放縦ゆえに失い,ロンドンでの文筆生活も永続せず,郷里に帰り教師をした。作品もその長所と欠点を表わし,プロメテウスを扱った劇も未完であるが,ソネットには秀作があり,またマッシンジャーと J.フォードのすぐれた校訂本を出した。弟ダーウェントによる回想録のついた,詩とエッセーの『遺稿集』 Essays and Marginalia and Poems (1851) がある。

コールリッジ
Coleridge, Samuel Taylor

[生]1772.10.21. デボンシャー,オッタリーセントメアリー
[没]1834.7.25. ハイゲート
イギリスの詩人,批評家。牧師の家に生れ,一種の神童として少年時代から文学書や哲学書を耽読。クライスツ・ホスピタル校で C.ラムと交遊,ケンブリッジ大学中退後 R.サウジーと知合い,パンティソクラシー Pantisocracyと呼ぶ平等社会をアメリカに建設する計画を立てたこともあったが,詩人としての開眼は 1795年の W.ワーズワスとの出会いに始り,2人でロマン主義の金字塔ともいうべき詩集『抒情歌謡集』 Lyrical Ballads (1798) を生み出した。彼の有名な『老水夫の歌』 The Rime of the Ancient Marinerはこの詩集の巻頭を飾る。そのほか,代表作『クリスタベル』 Christabel,夢のなかで詩想を得たといわれる名作『クーブラ汗』 Kubla Khanもこの頃の作である。やがて健康を害してアヘン常用者となったが,文学活動は盛んで,1810年頃から文芸講演を行なったが,なかでもシェークスピアに関するものは有名である。さらに『文学的自伝』 Biographia Literaria (1817) において,ドイツ哲学論,イマジネーション論などを展開して高い評価を得た。思想家としてはドイツ観念論のよき理解者であり,詩人としては幻想に満ちたロマン派の巨頭であった。

コールリッジ
Coleridge, Sara

[生]1802
[没]1852
イギリスの女流作家。父親 S. T.コールリッジの作品の編纂で知られるほか,子供向けの詩集がある。

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大辞林 第三版の解説

コールリッジ【Samuel Taylor Coleridge】

1772~1834) イギリスの詩人・批評家。ワーズワースとの共著「抒情民謡集」はロマン主義復興の先駆となった。「老水夫行」「クブラ=カーン」「クリスタベル」など神秘的な名詩で知られるほか、評論に「文学的自伝」がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コールリッジ
こーるりっじ
Samuel Taylor Coleridge
(1772―1834)

イギリスの詩人、批評家、哲学者。デボンの牧師の子に生まれる。ロンドンのクライスツ・ホスピタル校では、早く父を失い、母と別れてひとり寄宿舎生活に耐えながら驚くべき神童ぶりを発揮した。その様子を、同校で親友となったC・ラムが、のちに『エリア随筆』において描いている。ケンブリッジ大学在学中に騎兵隊に志願入隊したり、友人サウジーとアメリカに原始共産主義的共同体(パンティソクラシー)の建設を夢みたり、雑誌を刊行したりするが、いつも挫折(ざせつ)する。結婚生活も不幸で、のちに親交を結んだワーズワースの義妹セアラSara Hutchinson(1775―1835)にかなわぬ恋を捧(ささ)げ続ける。ワーズワースとの不和をもたらした性格的な弱さ、アヘン吸飲を招いた肉体的な病苦などのために、死に至るまで幸福を知らぬ生涯であった。
 1798年、ワーズワースと共著で、イギリス・ロマン主義ののろし『抒情民謡集』を匿名出版。その巻頭を飾った罪と贖罪(しょくざい)の物語詩『老水夫の歌』を「煉獄(れんごく)編」とすれば、アヘンの夢のなかで見た至福の幻を自動的に記述したといわれる、英語による最初のシュルレアリスム(超現実主義)詩『クブラ・カーン』は「天国編」であり、無垢(むく)と汚辱をめぐる悪夢的儀式とも思われる未完の物語詩『クリスタベル』は「地獄編」である。これら三つの代表作は、いずれも象徴的な設定のなかに人間の条件と意識の深淵(しんえん)を探求した幻視的傑作である。ほかに『深夜の霜』など「会話詩」とよばれるいくつかの独自な佳品も同じく1798年前後の短い時期に生み出された。しかし詩的創作力は急速に衰え、その苦しみを歌った『失意の歌』(1802)がいわば最後の秀作となる。それとともに批評家、思想家としての成熟が始まった。代表的評論『文学的自伝』(1817)や、講演、談話などによるシェークスピア論は、批評史上の巨匠の位置を保証するに足るものである。
 18世紀合理主義を批判し、想像力の優位を主張する彼の哲学的方法論は、カント以後のドイツ先験論哲学を吸収しながら、独特の詩的直観と心理的洞察に裏づけられている。とくに言語分析に基づく作品の有機的統一性の強調は、20世紀の新批評(ニュー・クリティシズム)など後代に大きな影響を及ぼした。彼の思索は宗教、神学、政治にまで及び、19世紀中葉のキリスト教運動や政治思想は彼から多くの栄養と刺激を得ている。H・リードは彼のなかにキルケゴール的な「実存主義者」をみているし、他方、1957~2002年に刊行された膨大なThe Notebooks of Samuel Taylor Coleridgeは、フロイトを予言する深層心理への省察に満ちている。あたら詩才を空費せしめた理論癖(へき)、ドイツ哲学の受け売り、自己の体系を築きえぬ饒舌(じょうぜつ)な虚言症、といった汚名から解放されて、彼はいま、ロマン主義の代表的詩人、批評家として、古今東西にわたる博識にものをいわせて、思想の狭い区分を越えた探求者として、現代への重要な問題提起者として、再評価されつつある。[高橋康也]
『斎藤勇・大和資雄訳『コウルリジ詩選』(岩波文庫)』

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