ゴキヅル(その他表記)Actinostemma lobatum(Maxim.)Maxim.

改訂新版 世界大百科事典 「ゴキヅル」の意味・わかりやすい解説

ゴキヅル
Actinostemma lobatum(Maxim.)Maxim.

水辺草地に生えるウリ科の一年生つる草。果実がふたを合わせるように上下に分かれるところから合器蔓(ごきづる)と呼ばれる。つるは細く,巻きひげで他物に巻きつき,2m内外に伸びる。葉は三角状で,先は細く,基部は左右にはり出して1~2対の突出があり,心形となる。夏から秋にかけて葉腋ようえき)から円錐花序を出し,多数の淡黄緑色で小型の花をつける。雄花は多数あって,萼,花冠ともにそれぞれ5裂し,裂片の先は細くとがる。雌花は花序の基部に1個ずつつき,やや長い柄がある。果実は卵形で表面にいぼ状突起があり,中央で横に割れて上半分が脱落し,中から黒色の2種子が現れる。種子は20%以上の油を含み,食用薬用にされることがある。日本,朝鮮,中国に分布する。特に葉の基部が深く3裂するものをツタバゴキヅルvar.palmata Makinoという。

 ゴキヅル属Actinostemmaは世界に6種あり,東アジアからインドに分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴキヅル」の意味・わかりやすい解説

ゴキヅル
ごきづる / 合器蔓
[学] Actinostemma tenerum Griff.
Actinostemma lobatum Maxim.

ウリ科(APG分類:ウリ科)の一年生つる草。茎は細く、2メートルほど伸び、葉と対生する巻きひげで他物に絡む。葉は互生し、三角状披針(ひしん)形で先がとがり、長さ5~10センチメートル、下部は浅く3~5裂し薄質。夏から秋、葉腋(ようえき)に黄緑色の小花をつける。花は単性、雄花は上方に総状花序をなし、基部に1個の雌花をつける。萼(がく)、花冠ともに深く5裂し、裂片はともに披針形先端は尾状にとがる。果実は下垂し、卵形で刺(とげ)状突起があり、長さ約1.5センチメートル。熟すと中央部が横裂して上部は蓋(ふた)のように落ち、2個の種子が散らばる。名は、この果実のようすが蓋付きの椀(わん)に似ていることによる。水辺に生え、北海道から九州、さらに朝鮮半島、中国、東アジアに広く分布する。

[小林純子 2020年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴキヅル」の意味・わかりやすい解説

ゴキヅル(合器蔓)
ゴキヅル
Actinostemma lobatum

ウリ科の繊細な一年草。東アジアの温帯に広く分布し,北海道を除く日本各地の山野湿地に自生する。茎は緑色のつる性で長さ約 2mとなり,巻ひげで他物にからむ。葉は有柄で互生し,三角状披針形で長さ5~10cmあり,先端は伸びてとがる。基部は心臓形で2~3の突出がある。秋に,総状に多数の黄緑色の小花をつける。雌雄同株。花後,楕円形の小果を結ぶが,熟すると椀のふたを取るように先端の半分が離れて落ちる。中に黒色の種子が2個入っている。

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世界大百科事典(旧版)内のゴキヅルの言及

【ウリ(瓜)】より

…子房は下位で多くは3室があり,側膜胎座に多くの胚珠をつけるものが多いが,まれに少数のものがある。果実は液果状で,ふつうは裂けないが,ゴキヅル(イラスト)のように中央で横にふたをとるように裂けるもの,テッポウウリのように熟して果実が柄からはなれると,内部の果液とともに種子を射出するものもある。 ウリ類の果実の形,色,果肉の性質などは,メロン類,カボチャ類,それにヒョウタンに見られるように変異に富み,ときには同一種でありながら全然別物に見えることもあるし,利用のしかたがまるで異なることもある。…

※「ゴキヅル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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