ザッヘル・マゾッホ(読み)ザッヘルマゾッホ

百科事典マイペディアの解説

ザッヘル・マゾッホ

オーストリアの作家。ガリツィア地方のレンベルク(現ウクライナ共和国領,リボフ)に生まれた。苦痛のなかに快楽を覚える青年を描いた《毛皮を着たビーナス》(1870年)は,のちに〈マゾヒズム〉の語を生んだことで知られる。ほかに《ガリツィア物語》(1877年)など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ザッヘル・マゾッホ
ざっへるまぞっほ
Leopold Ritter von Sacher-Masoch
(1836―1895)

オーストリアの小説家。ガリツィア(現ウクライナ領)のリボフ生まれ。プラハとグラーツの大学で歴史学を学ぶ。代表作『毛皮を着たビーナス』(1871)によって一躍文名を高めた。青年貴族クジェムスキーが自らの生殺与奪の権をゆだねる旨の契約書を貴婦人ワンダと交わし、ワンダとの間に美男の「ギリシア人」なる第三者が介入してくるや、クジェムスキーの倒錯した快楽と苦痛のアイロニカルな戯れがひときわ高まる、という愛の冒険物語である。マゾッホは実生活でもコトウィッツ夫人や女優F・ピストールらとの恋愛をはじめ、お針娘A・リューメリンに貴婦人教育を施したうえでワンダ・マゾッホを名のらせて結婚し、「ギリシア人」に相当する男たちを2人の間に呼び込むなど、小説の事件そのままの現実化に打ち込んだ。死後その性的奇行が性心理学者の注目するところとなり、「マゾヒズム」と命名された。[種村季弘]
『種村季弘訳『毛皮を着たヴィーナス』(河出文庫) ▽種村季弘著『ザッヘル=マゾッホの世界』(1984・筑摩書房) ▽ジル・ドゥルーズ著、蓮實重彦訳『マゾッホとサド』(1973・晶文社)』

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