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シイタケ

栄養・生化学辞典の解説

シイタケ

 [Lentinula edodes].ハラタケ目キシメジ科シイタケ属に属する.広く栽培され,生としても乾燥品としても利用されるキノコ.乾燥品にはエルゴカルシフェロールが多く含まれる.

出典|朝倉書店栄養・生化学辞典について | 情報

食の医学館の解説

シイタケ

《栄養と働き》


 わが国では古くから食用にされており、栽培量がもっとも多いキノコです。
 ほかのキノコにはない特有の物質を含んでおり、がんや生活習慣病の予防の強い味方となってくれる食品です。
〈エルゴステリンがカルシウムの吸収を高める〉
○栄養成分としての働き
 シイタケは、ビタミンDのもととなるエルゴステリンを豊富に含んでいます。
 エルゴステリンは、日光や紫外線にあたるとビタミンDに変化する成分です。
 ビタミンDは、小腸でのカルシウムの吸収率の向上を助ける働きをもっています。強い歯をつくり、骨の強化・発育に欠かせないビタミンなのです。
 子どもの骨の発達や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防・改善に大いに役立ちます。
〈エリタデニンと食物繊維がコレステロール値を下げる〉
 シイタケには深みのあるうまみがありますが、このうまみのもとがアミノ酸の一種グルタミン酸です。新陳代謝(しんちんたいしゃ)を促進し、脳の栄養素として欠かせない物質で、老化防止に効果があります。
 新陳代謝を活発にさせるアミノ酸も豊富に含まれています。アミノ酸の一種であるエリタデニンという物質は、血液中の過剰になったコレステロールを体外に排泄(はいせつ)する働きがあります。
 国立健康栄養研究所による報告では、1日に生シイタケ90g、または干しシイタケ9gを毎日食べ続けることによって、1週間で約10%のコレステロールが下がった、という結果がでたそうです。
 また、腸内の余分なコレステロールを排出する食物繊維も豊富で、そのうえ、フィトステリンという物質が排出を促進するので、動脈硬化、脂質異常症、便秘(べんぴ)などの予防に適しています。
 シイタケに含まれる食物繊維は、キノコ特有のもので、β(ベータ)―グルカンと呼ばれる不消化性多糖体です。β―グルカンは、直接がん細胞に働きかけるのではなく、体に備わっている免疫機能を活性化させ、その結果としてがん細胞を退治したり、増殖を抑えられるようにする成分です。それでもその効果は高く、がん予防に有効に働く成分といっていいでしょう。
 さらに、胞子に含まれる成分には、抗菌・抗ウイルス作用、免疫細胞の活性化などの働きがあります。抗がん作用の働きも解明されてきており、β―グルカンとダブルでがんを予防してくれます。
 核酸分解酵素を含み、核酸を吸収しやすい成分に分解する力が強いのも特徴の1つです。核酸は脳の老化予防に有効に働きます。
 ほかに、脂肪の過酸化を抑制して動脈硬化を防ぐビタミンB2、皮膚炎、貧血、糖尿病に有効なB6などを含み、栄養価値の高い食品です。

《調理のポイント》


〈使う前に日にあてるとビタミンD効力がアップ〉
 シイタケは年中出回っていますが、春ものなら3~5月、秋ものは9~11月にでているものがもっともおいしいとされています。
 新鮮な生シイタケは、裏が白く、薄い膜が張っているものです。軸が太くて短く、かさがあまり開いていないもので、薄茶色で肉厚のものを選びましょう。
 ビタミンDの効果をよりアップさせるには、使う前に20~30分ほど日光にあてるのがポイントです。
 キノコは水に浸けると風味が落ちてしまうので、水で洗わずにフキンなどで軽く拭いてから使います。
 いろいろな料理に使えますが、生のまま焼いて食べるときは、表面に油を少量塗ると水分の蒸発が抑えられ、きれいに焼き上がります。
 生のシイタケを保存するときは、洗わずに新聞紙かペーパータオルで包んでからビニール袋に入れて冷蔵庫へ。日持ちはしないので、2~3日で使いきりましょう。
○注意すべきこと
 シイタケは、アレルギー体質の人が食べると、さらに症状を悪化させることがあるので気をつけましょう。とくに生焼けのシイタケには要注意です。

出典|小学館食の医学館について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シイタケ
しいたけ / 椎茸・椎蕈・香蕈・香
[学]Lentinus edodes (Berk.) Sing.

担子菌類、マツタケ目キシメジ科の食用キノコ。西洋のマッシュルーム、東南アジア・中国のフクロタケ(草(ツァオグー))とともに世界三大栽培キノコの一つとされ、シイタケshiitakeの名はそのまま世界に通用するほど広く親しまれている。[今関六也]

形態

傘は普通5~12センチメートルほどで、初めは丸山形で縁は強く内側に巻き込むが、開くと平らになる。表面は茶褐色から焦げ茶色で、表皮は細かくまたは大きく裂けて、平たいか、または多少反り返った「ささくれ状」となる。周辺部には白い綿毛状の繊維を帯びることが多い。傘の下側は、初めは綿を引き伸ばしたような膜で覆われるが、傘が開くと膜はちぎれて傘の縁と茎の上部に名残(なごり)を残すが膜質のつばにはならない。ひだは白く茎に湾生する。茎は傘の中心または一方にすこし偏ってつき、上半は白く、下半は褐色。茎の表面は繊維状で、肉は充実して硬い。胞子紋は白。胞子は楕円(だえん)形で一端がややとがり、5~7ミクロン×3.5~4ミクロン。なお、傘の肉は肉質であるが、乾かしても、水に浸(つ)けると生(なま)の状態に戻るという特性があり、これがシイタケの食品的価値をいっそう高めている。また、乾燥すると香りもよくなる。[今関六也]

生態と分布

野生のシイタケはブナ科のナラ、カシ、シイ類の枯れ木に生える。発生期は春と秋であるが、高地では気温が低くなるので、夏が多い。日本では全国各地に分布する。世界的にも分布域は広く、韓国、台湾、中国中南部、フィリピン、ボルネオ、ニューギニア、ネパールなどのほか、ニュージーランドからも発見されている。[今関六也]

栽培の歴史

シイタケ栽培の技術は日本で開発されたものであり、その歴史は江戸時代中期にまでさかのぼる。栽培は豊後(ぶんご)(大分県)または伊豆地方から始められたといわれ、1796年(寛政8)には、農学者佐藤成裕によってシイタケ栽培の最古の専門書である『温故斎五瑞篇(おんこさいごずいへん)』が著されている。この書には、原木の選択・伐採法、菌の発生を促す浸水法、榾場(ほたば)の管理、火力乾燥などの記述がみえる。この時代には、すでに「菌師」とよばれるシイタケ栽培の指導者が豊後や伊豆などにおり、各地から招かれてシイタケ産業を広めている。佐藤成裕自身も、米沢(よねざわ)、会津、岡山、薩摩(さつま)などの諸藩からの招きを受け、栽培法を指導し、シイタケ生産によって藩の財政を豊かにしている。江戸時代に出された他の専門書として秦檍丸(はたあわぎまる)による『香蕈(こうじん)播製録』があげられる。やがて明治になると、栽培法は田中長嶺(ながね)、三村鐘三郎(しょうざぶろう)らによって科学的に改良されていく。さらに昭和になると、シイタケ菌糸の純粋培養による「種菌(たねきん)接種法」が生まれて、シイタケ栽培は近代産業として着実に発展していく。種菌接種法は、アメリカでマッシュルーム栽培を学び、これを事業化した森本彦三郎や農林省林業試験場の樹木病理学者北島君三らによって考案されたものである。最初につくられた種菌は、鋸屑(のこくず)と米糠(こめぬか)を4対1ほどの割合で混ぜたものに菌糸を培養した鋸屑種菌であった。現在では、長さ2センチメートルほどの丸棒形またはくさび形の小木片に菌糸を繁殖させた「種駒(たねごま)」が多く用いられている。この種駒は、シイタケ産業の父ともいわれる森喜作(きさく)によって考案されたものである。[今関六也]

栽培法

シイタケは一種の木材腐朽菌であるため木に栽培される。この木を原木といい、コナラ、クヌギが最適であるが、シイ、カシなどの常緑広葉樹も用いられる。径10センチメートル前後の木を晩秋に切り倒し、1~2月ごろ長さ1メートルほどに切る。この作業を「玉切り」といい、伐採から玉切りまでの間に木を枯らし、材の水分を調整する。次は種菌の接種で、原木に20ほどの穴をあけて種菌(種駒)を埋め込む。種菌は専門業者によって製造されている。種菌を接種した原木を榾木(ほたぎ)という。榾木は1年間ほど林内で20~30度の傾斜をもたせて寝かせ込む。これは、雑菌の侵入を防ぎながらシイタケ菌糸を十分に榾木内に蔓延(まんえん)させるのが目的であるから、環境の選択と環境に応じた並べ方のくふうがたいせつとなる。過湿と直射日光は禁物であるが、通風はむしろ必要条件といえる。1年ほどたつとキノコが出始めるので、榾木をキノコの発生と収穫にいっそう適した場所へ移動する。この作業を「榾おこし」とか「立て込み」といい、移動した場所を榾場という。
 以上が現在行われている「榾木栽培法」である。次に干しシイタケと生シイタケの栽培について触れる。[今関六也]

干しシイタケの栽培

生産されたシイタケの約3分の2は干しシイタケとされるが、干しシイタケ用の榾場は林内に設けられる。これが自然栽培または露地栽培とよばれるものである。キノコの発生には気象条件、とくに雨の影響が大きいため、降雨不足のときにはスプリンクラーによる散水が必要となる。また、収穫時には大量の労力が求められるので、榾場の選定にあたってはこれらの条件を満たすような配慮が必要である。干しシイタケの優劣は乾燥の良否によって決まる。昔は天日乾燥が多かったが、現在は人工乾燥へと変わっている。人工乾燥は火力乾燥が主であるが、そのほか、真空乾燥、赤外線乾燥なども考案されている。火力乾燥の場合でも、栽培規模に応じて、さまざまな乾燥機、乾燥施設がつくられている。[今関六也]

生シイタケの栽培

元来、シイタケは春秋の2期に発生するものであるが、温度と水の条件を調節するならば、希望するときにシイタケをつくることができる。生シイタケの施設栽培はこれを基本に置いたものである。つまり、十分に菌糸が蔓延した榾木を水に浸してキノコの発生を促し、これを温度が調節できるハウス内に並べてキノコを発生させるわけである。シイタケには、低温性(5~15℃で成長)、中温性(10~20℃)、高温性(15~25℃)などの品種があるため、生シイタケの栽培においては、その目的に応じて選択がなされている。[今関六也]

品種

ここでいう品種とは、分類学上のものではなく、キノコの大小、色、茎の長さといった形態的特徴、あるいは発生期が主として春または秋、春秋2回といった生態的特徴をもち、代を重ねてもその性質が変わらない系統という意味である。かつては品種という語をさほど厳密に解釈せず、種菌業者がかってに銘柄を決めて宣伝したため、その数は数百に達し、内容も玉石混交でシイタケ栽培家に混乱が生じた。こうしたことから、1978年(昭和53)、政府は優れた品種の育成とその開発者の権益を保護するために品種登録制度を施行した。その結果、進歩的な種菌業者はいっそうの研究と努力を重ね、気象的・市場的条件を異にする各地方の需要に応じた優良品種を開発し、シイタケ産業の堅実化に貢献することとなった。
 こうした背景をもつシイタケ産業の発展は、第二次世界大戦後から始まったものであるが、それはまず、敗戦直後の危殆(きたい)に瀕(ひん)した農村経済の回生に寄与することから出発している。やがてシイタケ栽培の努力は食用キノコ類の栽培産業開発の基調となっていった。現在では、シイタケを主体とする食用キノコ産業は、養蚕業をしのぐ大産業へと発展しつつある。[今関六也]

食品

生鮮食品として収穫後すぐに出荷するものを生シイタケ、乾燥して保存性をもたせてから出荷するものを干しシイタケとよぶ。
 生シイタケで完全に傘の開いたものの成分は、水分91.1%、タンパク質2.0%、脂質0.3%、炭水化物では糖質が5.3%と繊維が0.9%、灰分0.4%である。傘の開ききる前のものは、この値より水分が少ない傾向にある。ビタミン類ではナイアシン、エルゴステロールなどが含まれている。生シイタケはその持ち味や歯ごたえのある肉質の感触を生かして、塩焼きやバター炒(いた)め、揚げ物などにし、さらにそれを他の料理に使う。また和(あ)え物などには軽く湯がいてから利用する。そのほか煮物、汁の実に使われ、和風にも洋風にもあう。
 干しシイタケにすると特有のよい香りが出る。干しシイタケの成分は、水分約10%、タンパク質20.3%、脂質3.4%、炭水化物では糖質が52.9%と繊維が8.9%、灰分4.2%である。干しシイタケは傘の開きぐあいなどから冬(どんこ)と香信(こうしん)とに大別する。冬は本来、名が示すように初冬から2月ごろまでの低温・低湿下で発生させたもので、傘が半球形で、縁が裏側に巻き込んでいて肉厚である。シイタケの傘が育つときに温度と湿度とが低いと、傘の表面に亀裂(きれつ)が入り、肉厚で品質のよいものになる。なかでも、とくに肉厚で、傘の表面の光沢が強く、白い亀裂が細かく入っているものを天白冬(てんぱくどんこ)とよんで珍重する。傘の亀裂が大きめで、淡黄色から淡褐色のものは花冬(はなどんこ)とよばれ、天白冬に次ぐ品質とされる。このほか上冬(じょうどんこ)や並冬(なみどんこ)などの規格に分けられる。冬はとくに中国料理で珍重される。香信は、温度、湿度が適当で順調に成長したキノコである。傘は開いて大きく、肉は薄い。傘の表面の色や光沢、大きさなどにより品質が分けられる。干しシイタケは肉厚で十分に乾燥しているものを選び、水かぬるま湯でもどしてから料理に使う。もどすときには3~数時間が限度で、あまり長く浸すとうま味が抜けてしまう。保存は、虫がついたり湿ったりしないようにポリ袋や缶に密封しておく。保存法にはこのほか塩漬けや佃煮(つくだに)などがあり、しいたけ茶やエキスなど健康食品としても用途がある。[星川清親]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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