シオン(英語表記)Zion

翻訳|Zion

デジタル大辞泉 「シオン」の意味・読み・例文・類語

シオン(Zion)

パレスチナ地方の古都エルサレム南東部の丘。ダビデ王が祭壇を築いて以来、聖なる山となった。エルサレムの象徴となっている。シオンの丘。シオンの山。

シオン(Sion)

スイス南西部、バレー州の都市。同州の州都商工業、ワイン生産が盛ん。旧市街を見下ろす二つの丘にあるバレール教会やトゥルビヨン城をはじめ、歴史的建造物が数多く残っている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「シオン」の意味・読み・例文・類語

シオン

(Sion) エルサレムの南東にある丘。紀元前一〇〇〇年ころ、ダビデが居城を、また、ダビデの子ソロモンエホバ神殿と壮大な宮殿を建設したところ。以来、聖なる山としてユダヤ民族の生活信仰中心となり、エルサレムおよび全イスラエルの象徴として、一九世紀末にはシオニズム運動を生んだ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「シオン」の意味・わかりやすい解説

シオン (紫菀)
Aster tataricus L.fil.

キク科の多年草。日本では古く平安時代より庭植えにして観賞され,また切花としても用いられるほか,その根は薬用として利用されている。変種に矮性(わいせい)のコジオンがある。高さ1.5~2mぐらいの茎を直立させ,秋に茎上に径2.5cmほどの藤紫色の頭状花を散房花序をなして咲かせる。葉は先のとがる長楕円状の披針形で大きく,根生するが,茎葉は小型で互生する。朝鮮からシベリアモンゴルにかけて分布し,日本でも九州や中国地方に野生しているが,本来の野生品か,導入されたものが野生化したものかは,はっきりしない。繁殖は株分けにより,一般には3~4月に行う。生育中に1~2回追肥する程度でよく,茎は長く伸びるが,強直で,支柱を立てる必要はない。薬用として鎮咳(ちんがい),去痰に利用され,根を煎じて服用する。コジオンは草丈50~60cm。きわめてじょうぶな耐寒性宿根草で,向陽地であればどこでもよく育つ。

 またシオン属Asterには,花屋でシロクジャクまたはクジャクソウと呼ばれるものがある。高さ1.5m以上,茎は木質化し,よく分枝する。夏~秋,枝先に径1.5cmほどの白い頭花を多数つける。
執筆者:


シオン
Zion

エルサレムの古い別称。ダビデ王が征服したエブス人の町エルサレムは,今日の旧市街の外,三方を深い谷で守られた南東の丘にあって〈シオン要塞〉と呼ばれていた。ダビデはこれを〈ダビデの町〉と呼んだが(前1000年ころ),イスラエルの詩人たちはシオンをエルサレムの愛称として好んで用いた。後に祖国を追われたユダヤ人にとって,シオンはパレスティナへの帰還と民族国家再興の夢と希望とを指す言葉となり,19世紀末のシオニズム運動を生んだ。
シオニズム
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「シオン」の意味・わかりやすい解説

シオン

エルサレムの古い別称。もとはダビデ王が征服したエルサレム南東の丘を占めるエブス人の城塞(じょうさい)(《サムエル後書》5の6)の名だが,のちエルサレム全市街の名称となった。また象徴的には天にある神都の意。〈シオンの娘ら〉はエルサレム市民の詩的表現。のちに祖国を追われたユダヤ教徒は,パレスティナへの帰還の夢をこの言葉に託し,シオニズム運動を生んだ。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シオン」の意味・わかりやすい解説

シオン
Zion

聖書に出てくる丘の名。エルサレム南東にあるこの丘はエブスの要害であったが,ダビデが占領して「ダビデの町」と名づけ,そこに契約の櫃を置いた。ソロモンがこの町の北にあるモリア山に神殿を建ててからは,この山がシオンと呼ばれた。のちにこの名はエルサレムの町全体を,そして「シオンの娘」という表現はその住民をさすようになった。またシオンは神の住む丘であることから「神の都」を意味する象徴的な言葉としても使われている。

シオン
Sion

ドイツ語ではジッテン Sitten。スイス南部,バレー州の州都。6世紀後半に司教座がおかれ,999~1798年シオン司教領の中心であった。市はローヌ右岸の小高い丘を囲んで広がり,13世紀の古城跡,ノートル・ダム大聖堂など歴史的建造物が多い。野菜,果実,ワインの集散地。人口2万 5350 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシオンの言及

【エルサレム】より

… 前4千年紀から居住の形跡が見られ,中期青銅器時代には町が形成された。前1000年ころ,ダビデ王が,エブス人が支配していたエルサレム南東の丘の要害シオンを征服して新しく〈ダビデの町〉と名づけた。エルサレムは統一されたばかりのイスラエル王国の首都となった。…

【ユダヤ教】より

… 前13世紀末に,イスラエル人はカナンに侵入して〈約束の地〉に定着したが,前1000年ころ,ユダ族出身のダビデが王となり,シリア・パレスティナ全域にまたがる大帝国を建設し,エルサレムを首都に定めた。その子ソロモンが,エルサレムのシオンの丘に主の神殿を建立すると,主はダビデ家をイスラエルの支配者として選び,シオンを主の名を置く唯一の場所に定める約束をした,と理解された(〈ダビデ契約〉)。ここから,〈メシア〉(原義は〈即位に際して油を注がれた王〉)が,世の終りにダビデ家の子孫から現れるという期待と,エルサレム(シオン)を最も重要な聖地とする信仰が生じた。…

※「シオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android