シャンペーニュ(読み)しゃんぺーにゅ(英語表記)Philippe de Champaigne (Champagne)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャンペーニュ」の意味・わかりやすい解説

シャンペーニュ
しゃんぺーにゅ
Philippe de Champaigne (Champagne)
(1602―1674)

フランドル出身のフランスの画家ブリュッセルに生まれる。同地で修業ののち1621年パリに出、リュクサンブール宮の装飾などに従事、27年いったんブリュッセルに帰るが、マリ・ド・メディシスの画家、王の侍従という待遇でパリに戻る。マリ・ド・メディシス、ルイ13世、さらに彼を重用した枢機卿(すうききょう)リシュリューのために装飾壁画、肖像を制作。とくに枢機卿の肖像(ルーブル美術館およびロンドン、ナショナル・ギャラリー)を、フランドル的写実性と、17世紀フランスの厳しい古典性で描いた。また43年以来ジャンセニスム信奉ポール・ロアイヤル修道院のために、より簡素な作風で作品を描く。『1662年の奉納画』(ルーブル美術館)などがその代表作。

中山公男


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改訂新版 世界大百科事典 「シャンペーニュ」の意味・わかりやすい解説

シャンペーニュ
Philippe de Champaigne
生没年:1602-74

ブリュッセル生れのフランスの画家。シャンパーニュChampagneともいう。はじめ風景画家として修業をし,1621年にパリに出てプッサンとともにリュクサンブール宮殿の装飾に従事。28年王妃マリー・ド・メディシスの宮廷画家となり,ルイ13世やリシュリューのために制作をし,ソルボンヌ教会天井のフレスコ画(1641-44)も手がけた。この頃から厳格なカトリック教派ジャンセニスムの影響を受け,清澄な画風が支配する。冷やかだが強い色彩,理性的なきびしい構図は〈奉納画Ex-voto〉(1662)によく表れている。肖像画も,北方の写実を基礎にしながら,フランスの理知的な描写で統一されている。
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