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ショップ制 ショップせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ショップ制
ショップせい

組合員資格と従業員資格の関係についての協定のことで,通常,労働協約の中に規定されている。おもなものに,労働者の雇用について何の規定もなく,したがって組合員であるか否かは雇用の継続に何の影響も与えないオープン・ショップ使用者が従業員を組合員・非組合員の区別なく採用できるが,従業員は採用後一定期間内に労働組合に加入しなければならず,加入しない場合または組合員資格を失った場合には従業員としての資格も失う,というユニオン・ショップ,使用者は協定を結んでいる組合の組合員だけを雇用し,また組合を脱退したり除名されたりした者は解雇しなければならないと規定されるクローズド・ショップがある。またほかに,採用や解雇の際に組合員が常に有利となるもの (組合員優先条項) ,組合未加入者も組合費と同額を組合に納めなければならないもの (エージェンシー・ショップ) ,一つの工場内に2組合がある場合労使休戦政策の一つとしてその比率を維持するもの (維持ショップ) などがある。どの形態をとるかは労働組合の組織力の強弱に依存する。

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世界大百科事典 第2版の解説

ショップせい【ショップ制】

労働協約上,従業員資格と組合員資格とを関連づけることによって,組合員のために雇用を確保するとともに組合の組織強化をはかる制度。ショップshopとは,こうした制度の適用をうける職場ないし事業場のことをいう。労働組合は,本来任意団体であるが,その地位を強化し,その影響力を職場全体に及ぼすために種々の形態で組合員の増加をめざす必要がある。ショップ制は,そのなかでも使用者の人事権,とりわけ解雇権を背景に被用者の組合加入を強制するものであり,端的な組織強制手段とされる。

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大辞林 第三版の解説

ショップせい【ショップ制】

労使間の協定により、従業員資格と労働組合の組合員資格を関係させる方式。クローズド-ショップ・オープン-ショップ・ユニオン-ショップなどがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ショップ制
しょっぷせい

労働組合と使用者またはその団体との間で、組合員であることと従業員であることとの関係、または従業員として採用する対象者の要件と組合員であることとの関係について取り決めた制度。三つの形態がある。第一のクローズド・ショップclosed shopは、使用者に特定労働組合の組合員のみを従業員として採用することを義務づけるもので、たとえば「従業員の採用は組合員のなかから行う。また、従業員としてとどまるためには、組合員でなければならない」というような協定が締結される。第二のユニオン・ショップunion shopは、たとえば「従業員は組合員でなければならない。会社は、組合を脱退した者または除名された者を解雇しなければならない」というような協定により、労働者には従業員として採用されてのち一定期間内に労働組合に加入することを要求し、他方使用者には組合員資格を失った者を解雇することを義務づけるものである。第三のオープン・ショップopen shopは、従業員が組合員であるか否かを問わない制度である。歴史的には熟練労働者の企業横断的組織である職能別労働組合によるクローズド・ショップに始まると考えられる。しかし、日本では労働組合が企業別組織であることから、企業ごとに締結されるユニオン・ショップが圧倒的多数である。しかも解雇規定を欠く「宣言的ユニオン」であったり、「ただし解雇にあたっては会社、組合が協議する」という但書のある「しり抜けユニオン」であることが多い。[木下秀雄・吉田美喜夫]

機能

クローズド・ショップ、ユニオン・ショップは、第一に、労働者に組合加入を強制し脱退を制約する機能をもち、このことは第二に、組合の団結の維持・強化につながると考えられている。また第三に、労働組合による職業・雇用の統制・確保に役だち、個々の労働者が労働力を安売りして労働条件を自ら引き下げるのを防ぐ。さらに第四に、使用者による組合承認という一般的な組合保障の意義ももつと考えられる。日本の場合、組合幹部が「除名すなわち解雇」というユニオン・ショップ制度の効果を背景にして組合内の批判を押さえ込む例があり、労働組合による労働市場のコントロールという本来の機能よりも、組合内の統制機能を営むに至っている。しかも、しり抜けユニオンのため使用者の判断が入り込む余地が広く、ユニオン・ショップに基づく解雇が不当労働行為の隠れ蓑(みの)になっている面もある。[木下秀雄・吉田美喜夫]

効力

以上のような日本におけるユニオン・ショップ制度のもつ弊害を理由に、また労働者の労働権や自己決定権を重視する立場から、ユニオン・ショップ協定の無効を主張する説が有力になっている。しかし、現在のところ憲法第28条の団結権保障規定を根拠にユニオン・ショップ協定を有効とする説が通説である。ただし、一企業内に複数の組合が並存している場合、それらのうち一つの組合が使用者とユニオン・ショップ協定を締結したとしても、当該組合以外の組合の構成員が解雇されるわけではないとの解釈が支配的である。つまり、ユニオン・ショップ協定が有効であるとしても、その効力は並存している別組合の組合員には及ばないと考えられている。
 次に、ユニオン・ショップ協定と使用者による労働者の解雇との関係であるが、労働組合がある組合員を除名したとする。その場合、使用者は当該被除名者を解雇する義務を労働組合に対して負うにとどまり(債務的効力)、除名により当然解雇という効果が生ずるわけではないと考えられている。ただ、判例は、除名が無効であると判断された場合には解雇も無効となるという考えをとっている。なお、労働組合法第7条1号の但書は、工場事業場の過半数の労働者を代表する労働組合が、ユニオン・ショップ協定を締結したとしても不当労働行為にはあたらないと定めている。これは、同条1号本文が、労働者が組合員であるか否かを雇用条件とすることを不当労働行為として禁止しているためである。つまり、ユニオン・ショップ協定は組合員でない労働者の解雇(雇用しないことを意味する)を義務づけるので、この禁止に該当することになるが、それを過半数組合が締結すれば不当労働行為にならないとしているのである。同協定を有効とみる場合の法的な根拠は、あくまで憲法第28条に求められるのであって、この但書が根拠になるわけではない。[木下秀雄・吉田美喜夫]
『本多淳亮著『ユニオン・ショップの研究』(1964・有斐閣) ▽林和彦著「ショップ条項」(『現代労働法講座6』所収・1981・総合労働研究所) ▽西谷敏著『労働法における個人と集団』(1992・有斐閣)』

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