イギリスの数学者。ユダヤ人の息子としてロンドンに生まれる。ケンブリッジ大学に学び、数学の才をド・モルガンに認められロンドン大学に就職するが、アメリカに移民した兄を頼ってバージニア大学に移り、保険会社にいた兄に勧められて保険会計士になった。やがて1846年にケンブリッジ法学院に戻り、ロンドンで弁護士を開業、このときの同僚がケーリーであり、二人で線形代数を建設した。固有値や階数など線形代数の基本的概念はシルベスターによるといわれる。1855年に弁護士を辞めて陸軍士官学校教官、1870年の定年後は詩やチェスを楽しんでいたが、1875年、35年ぶりにアメリカに渡りジョンズ・ホプキンズ大学教授となった。69歳でイギリスへ戻ってオックスフォード大学教授になった。
[森 毅]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリスの数学者。ロンドンで生まれ,15歳のときリバプールの学校に移り,1831年にはケンブリッジのセント・ジョーンズ・カレッジ,37年にダブリンのトリニティ・カレッジで学んだ。翌年ロンドンの大学で教職を得,39年に25歳でローヤル・ソサエティの会員に選ばれた。以後,勤務先はいろいろ変わったが,やがてA.ケーリーと知り合うに至り,互いに数学的好影響を与え合うようになった。シルベスターの業績は不変式論,数論,方程式論,二次形式論など広い分野にわたるが,二つの方程式から一つの変数xを消去するのに,その方程式をxの方程式として整理し,その係数を用いた行列式による方法は,現在でもシルベスターの消去法として有名である。
執筆者:永田 雅宜
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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