シンクタンク(英語表記)think tank

翻訳|think tank

デジタル大辞泉 「シンクタンク」の意味・読み・例文・類語

シンク‐タンク(think tank)

種々の分野の専門家を集め、国の政策決定企業戦略基礎研究コンサルティングサービスシステム開発などを行う組織。頭脳集団

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共同通信ニュース用語解説 「シンクタンク」の解説

シンクタンク

さまざまな分野の専門家を抱え、公共政策や企業戦略について調査、分析したり、提言したりする研究機関。政府系では、内閣府の経済社会総合研究所が国内総生産(GDP)などの経済データを調査し、公表する。経済産業省が所管する経済産業研究所は通商やエネルギー地域経済に関する政策を発信。民間では日本総合研究所や野村総合研究所などが、経済分野を中心に分析している。

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精選版 日本国語大辞典 「シンクタンク」の意味・読み・例文・類語

シンク‐タンク

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] think tank ) 頭脳集団。いろいろな領域の専門家を集めた組織。無形の頭脳を資本として、基礎研究や応用研究をはじめ、助言・指導などのコンサルティング‐サービスにも応じる企業組織、あるいは研究機関。
    1. [初出の実例]「これらは『シンク・タンク』(思考の貯蔵庫)などと呼ばれているが」(出典:ニューシンク入門(1969)情報化社会とデボノ理論〈松井好〉デボノ理論のマネジメントへの応用)

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改訂新版 世界大百科事典 「シンクタンク」の意味・わかりやすい解説

シンクタンク
think tank

大規模な実験設備を用いず,主として人間の頭脳と各種調査手法およびコンピューターなどを駆使して,政策や企業戦略の策定に資することを目的とした研究を行う調査研究機関をいう。think factory,brain bankなどの表現が用いられることもあり,日本ではシンクタンクという言葉をそのまま用いることが多いが,〈頭脳集団〉〈頭脳工場〉〈総合研究所〉などと訳される場合もある。語源は明確でないが,1900年代初頭の俗語辞典に頭脳を意味するものとして登場したといわれ,60年代になって近代的シンクタンクがつぎつぎに出現するに至り,今日的意味合いへ転用されるようになったものであろう。

 特色としてあげられるのは次のような点である。(1)政策提言を志向していること,(2)幅広い領域について学際的なアプローチを行えること,(3)新しい手法を志向していること,(4)自由な思考が可能な独立性を有していること。

先駆的なものとしては,研究開発を営利目的とした独立研究機関のはしりであるトマス・エジソンの研究所,政策志向のフランクリン研究所,化学コンサルタント企業として1886年に発足したアーサー・D.リトル社などがあげられ,さらにブルッキングズ研究所,アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所その他の研究所が生まれている。

 しかし,本格的な近代的シンクタンクの草分けは1948年に設立されたランド研究所といわれており,内外のシンクタンクに大きな影響を与えた。60年代には政府資金のほか,民間財団においても政策研究に対する資金を拡充したため,アメリカのシンクタンクは急速な発展を遂げて今日に至っている。

 日本では,環境問題,過密・過疎,国際化など,複雑化する政策課題に対して,長期的・総合的観点に立った政策や企業戦略樹立の必要性が認識され,70年代初めには設立ブームを生んだ。さらに70年代後半以降,地方におけるシンクタンク(財団法人の形態をとるものが多い)の設立が多くみられる。中立的な立場から総合的に政策研究を推進する機関として,総合研究開発機構法(1973制定)に基づき,総合研究開発機構(NIRA)が74年3月設立された。ここでは,政府,地方公共団体および民間からの出資と寄付による基金をベースに,21世紀への課題,エネルギー,国際関係,人間環境,経済発展,地域政策などの広範な課題について,自由研究・委託研究を行うと同時に,民間シンクタンクに対する研究助成を行っている。

NIRAが82年に実施した調査によれば,日本の調査研究機関は200機関余りあるが,そのうち調査研究事業のシェアが半分以上を占めているのは2/3であり,コンピューター計算,エンジニアリング,コンサルタントなどの業務と兼業しているところが多い。さらに,シンクタンクと呼ぶにふさわしいものとなると,数はいっそう限られ,1971年民間シンクタンクの交流組織として発足した日本シンクタンク協議会のメンバーは,野村総合研究所,三菱総合研究所など二十数社にすぎない。

 その後,NIRAが96年に実施した調査によれば,日本の調査研究機関は400機関余りあるが,そのうち調査研究事業のシェアが半分以上を占めているのは2/3であり,ソフトウェア開発,エンジニアリング,コンサルタントなどの業務と兼業しているところが多い。

 前記NIRAの調査によれば,350機関の95年度総収入は6538億円,うち調査研究受託収入は1904億円で,残りはその他事業収入や基金運用,会費収入などである。また,職員数は総数3万3000人,うち研究部門1万2000人で,機関数の60%,研究者・収入の80%が首都圏に集中している。また,規模別に見ても,研究者数20人未満が70%を占めている。委託研究プロジェクト収入は公共部門から38%,民間から51%であった。これらの数字からも,日本のシンクタンクの規模の小ささ,経営基盤の脆弱(ぜいじやく)さなどがうかがえる。

 アメリカの場合,政治・行政システムがシンクタンクの活動の余地を大きく与えており,人の交流も含めて,政府に対するシンクタンクの影響力は大きい。表におもなシンクタンクの概要を示す。

 ヨーロッパでは,イギリスの王立国際問題研究所,国際戦略研究所,政策科学研究所,フランスのアトランティック・インスティチュート,ドイツのIFO研究所,ハンブルク経済研究所などが,シンクタンクとして知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンクタンク」の意味・わかりやすい解説

シンク・タンク
しんくたんく
think tank

政府の政策決定や企業の経営戦略決定のための助言を行う調査研究機関。第二次世界大戦後アメリカ合衆国で急激に成長したが、本格的なシンク・タンクは1948年の空軍の援助によるランド・コーポレーションの設立以来のことで、いわゆる政策科学ないし社会工学とよばれる手法などを用い、政策分析や委託研究を行っている。最近では、民主党系のブルッキングス研究所や共和党系のアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所、フーバー研究所、ジョージタウン大学戦略研究センター、ヘリティジ財団、スタンフォード研究所、その他ウィルソン・センター、ハドソン研究所、アスペン人文研究所などが有名である。わが国では1974年(昭和49)に総合研究開発機構が認可法人として発足し、研究と助成を行っている。おもなシンク・タンクは、野村総合研究所、三菱(みつびし)総合研究所、政策科学研究所、社会工学研究所などである。

[川野秀之]

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百科事典マイペディア 「シンクタンク」の意味・わかりやすい解説

シンクタンク

頭脳集団などと訳す。各分野の専門家を広く集めた高度な研究組織。企業や政府機関などの依頼により,現状分析,未来予測,技術開発などを行い,経営戦略や政策決定に必要な知識や情報を提供する。特定の組織に従属しない独立の組織であること,多くの専門分野にわたる知識の総合化,システム化を行うこと,長期的視野に立つ未来指向型であることなどが特徴。米国ではバッテル研究所,スタンフォード研究所ランドなどが代表例。日本では野村総合研究所三菱総合研究所が代表的。
→関連項目英国国際戦略研究所

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンクタンク」の意味・わかりやすい解説

シンク・タンク
think tank

頭脳集団。社会科学,自然科学を問わず,全専門分野の異質の頭脳を結集して,隣接学問領域にまたがる複雑な課題につき,学際的,システム的接近で調査,研究,開発を行い,政府,公共機関,団体,企業の意思決定に必要な戦略や戦術となるべき情報やシステムを提供する機関。第2次世界大戦中からアメリカでその構想が発展し,人工衛星システムが空軍の援助資金で開発された。代表的なものはランド研究所,バテル記念研究所,スタンフォード研究所など。 1970年頃から日本でも急速に関心が高まり,数多くの機関が設立された。 80年代後半にはシステム開発企業と合併して,数千人単位の大研究機関が続出したが,シンク・タンク部門は最大の野村総合研究所,三菱総合研究所でも 500~800人程度で,バテル記念研究所の 6000人に比べると小規模である。また国と財界の協力により,総合研究開発機構も設立された。

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