しんど(読み)シンド(英語表記)Sind

デジタル大辞泉 「しんど」の意味・読み・例文・類語

しんど

[名・形動]《「しんろう(心労)」の変化した「しんどう」の音変化か。現在では関西地方で用いる》くたびれること。だるいこと。また、そのさま。「ああ、しんど
「はあ、いかう―な。この刀を持ってくれさしめ」〈狂言記粟田口

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精選版 日本国語大辞典 「しんど」の意味・読み・例文・類語

しんど

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「しんろう(心労)」の変化した「しんどう」が、さらに変化した語か ) くたびれること。だるいこと。また、くたびれて、物事をするのがおっくうなさま。大儀。しんろ。
    1. [初出の実例]「はあ、いかふしんどな。此刀を持てくれさしめ」(出典:狂言記・粟田口(1660))

しんどの補助注記

( 1 )この語形の発生については、「しんろう」から変化した「しんどう」が形容詞連用形のウ音便と理解され、活用語「しんどい」を生じ、その語幹の用法として「しんど」が成立したとする説や、逆に「しんどう」の短呼から生じたとする説(この場合、「しんどい」は「しんど」の活用語化によって生まれたことになる)など、諸説がある。
( 2 )肉体的・精神的に辛いさまを表わすが、精神的な辛さに限定する場合には「気」と合わせた「きしんど」を用いることがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「しんど」の意味・わかりやすい解説

シンド
Sind

パキスタン南東部の州。面積約14万km2,人口3044万(1998)。州都はカラチ。シンドの名はシンドゥ(インダス川サンスクリットによる古名で〈大洋,川〉の意)に由来する。地形的には,西部のキルタール山脈とその東麓の複合扇状地帯,中部のインダス川下流域の沖積平野,東部のタール砂漠西縁部の三つの南北ベルトに分かれる。インダス川は西部山地の走向に規定されてS字形に貫流し,河口部はカッチ湿地に接続する湿地帯をなす。砂漠気候に属し,北端のジャコババードの年降水量は99mmで,6月の最高気温の平均は50.0℃(平均気温は36.8℃)と,世界的な暑熱地である。このため農業は灌漑に依存している。インダス川のサッカル堰堤(1932完成),コトリグラーム・モハマッド堰堤(1955完成),カシュモールのグドゥ堰堤(1962完成)から,かつての乱流あとである旧流路を利用した用水路網が走り,計360万haを灌漑する。しかし灌漑の発展につれて乾燥地特有の塩害問題が深刻である。農業は米,小麦,綿花,サトウキビを主とする。ハイダラーバードサッカル,シカールプルなどの諸都市の主要機能は,これらの集散と加工にある。工業は港市で旧首都のカラチに集中し,軽工業のほか石油精製,製鉄業などが立地する。

 インダス文明の故地として名高く,その代表的都市遺跡であるモヘンジョ・ダロは北西部のインダス川西岸にある。シンドはインド亜大陸の南西端の周辺に位置するため,マウリヤ,グプタ,ムガルなどの大王朝への短期間の臣従を除いて,ガンガーガンジス)川流域の中央勢力の支配下におかれることは少なかった。地方的な勢力として独立ないし半独立を保つことが多く,むしろ西アジア方面からの諸勢力の侵入と支配が繰り返された。前325年のアレクサンドロス大王の軍勢,711年のアラブの侵入と亜大陸における最初のムスリム根拠地の建設などがその例である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しんど」の意味・わかりやすい解説

シンド
しんど
Sindh

インド亜大陸西部、インダス川下流域の地方名。地名の語源はサンスクリット語の「川」sindhuで、インダス川に由来する。「インダス」は英語訛(なま)り。先史時代のインダス文明の中心地の一つで、モヘンジョ・ダーロ遺跡がある。紀元前1000年ごろからアーリア人が北方から移住し、ヒンドゥー教をもたらした。前6~前4世紀にイランのアケメネス朝の属領となり、前4~前3世紀のマウリヤ朝下に仏教が伝わった。前3~前1世紀にギリシア系バクトリア、イラン系サカ、パルティアの支配後、後1~3世紀にクシャン朝がアラビア海岸まで版図を広げた。3~4世紀にイランのササン朝、インド亜大陸北部のグプタ朝、5世紀に在地のラーイー朝が創始され、さらに6世紀にヒンドゥー教の祭祀(さいし)階層であるブラーフマンの支配にかわったが、仏教は南部に存続した。

 8世紀初めにウマイヤ朝アラブ軍が、インド亜大陸最初のムスリム(イスラム教徒)政権を樹立、以後イスラムが広がった。11世紀から16世紀末にムガル朝支配下に入るまで、スームラ、サンマー、アルグーン、タルカーンなどの政権が続いた。18世紀にムガル朝の衰退でカローラ人の支配が強まり、さらに1783年にバルーチ系タールプル人の政権が独立したが、1843年にイギリスに倒され、ボンベイ州に併合された。シンディー人の自治要求で1937年にシンド州が成立し、47年のパキスタン独立後は60年まで州都カラチに首都が置かれ、政治・経済の中心地となった。

[浜口恒夫]


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山川 世界史小辞典 改訂新版 「しんど」の解説

シンド
Sind

パキスタン南東部の州名。主にシンディー語が話される地域。州都はハイダラーバード。南部に大都市カラーチーがある。シンドの名は,インダス川の古名シンドゥに由来。インダス文明の遺跡モエンジョ・ダーロがある。古くから西方の諸勢力がこの地への進出を繰り返した。19世紀前半にイギリスに併合され,ボンベイ管区に編入された後,1936年にシンド州として分離した。47年のインド・パキスタン分離独立によってパキスタンに入る。

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百科事典マイペディア 「しんど」の意味・わかりやすい解説

シンド[州]【シンド】

パキスタン南東部の州。インダス川下流の三角州,西部の山岳地帯,東部のタール砂漠からなり,高温,乾燥。サッカル,コトリ,カシュモールの灌漑(かんがい)水路により小麦,米,綿花,油料種子を主産。インダス文明の中心地で,北西部にモヘンジョ・ダロの遺跡がある。州都はカラチ。14万914km2。約3000万人(1998)。

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世界大百科事典(旧版)内のしんどの言及

【パキスタン】より

…この時点でパキスタン・イスラム共和国となったが,62年3月~64年1月の間は〈パキスタン共和国〉と称した。 〈パキスタンPAKISTAN〉とはウルドゥー語で〈清浄な国〉を意味すると同時に,パンジャーブ州のP,北西辺境州(アフガン州)のA,カシミールのK,シンド州のS,バルーチスターン州の末尾のTANを結合したものである。独立当時は東西に1800kmも離れた〈飛び地国家〉で,面積では〈西〉が85%,人口では〈東〉が55%を占めた。…

※「しんど」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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