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スカンダ スカンダSkanda

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

スカンダ
Skanda

ヒンドゥー教の神の名。最高神シバと女神パールバティーとの子とされ,別名をクマーラ Kumāraともカールッティケーヤ Kārttikeyaともいわれる。古くはベーダ文献にその名がみられるが,叙事詩時代に入ると重要視されるようになり,スカンダについて述べられた『スカンダ・プラーナ』という名の聖典もつくられた。その姿は1,6頭,2,12臂などいろいろな形をとり,いずれも武器を手にし,くじゃくを連れた軍神とされている。南インドではスブラフマニヤと呼ばれている。仏教神話にも採用され,四天王の南方増長天に属する八将の一人で守護神。私建陀天のほかに韋駄天などとも音写され,中国,日本では後者の名によって親しまれる。名の原義は「跳ぶ者」の意で,すみやかに奔駆して魔を退治するため,韋駄天走りなどの表現が日本では行われる。

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世界大百科事典 第2版の解説

スカンダ【Skanda】

ヒンドゥー教の軍神,神々の将軍。カールッティケーヤ,クマーラなどとも呼ばれ,韋駄天,私建陀などと漢訳される。六面を持ち孔雀を乗物とする。一般にシバ神とその妃パールバティーの息子とされるが,《マハーバーラタ》においては,直接にはアグニ(火天)とスワーハーSvāhā(薩婆訶(そわか))の息子とされ,病魔を生み出す疫病神である。元来は非アーリヤ的な土俗神であったと推測される。古いタミル地方の主神ムルガンMuruganと関連づける説も有力である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

スカンダ
すかんだ
Skanda

ヒンドゥー教の軍神。マハーセーナ(大軍を率いる者)、サナトクマーラ(常若(とこわか))、カールティケーヤ(六すばる星の育てた男子)、スブラフマニヤ(とくに南インドでよばれる)など多数の異名をもつ。スカンダの語義は流出、滴下を意味する。シバが女性を介さずに生んだ息子とされ、また火神アグニの子、ガンジス川の子ともいわれる。アスラ(阿修羅)、ターラカを破って神々に勝利をもたらした。また、スカンダは幼児の病気を惹起(じゃっき)するともいわれ、盗賊の守護神ともなる。仏教に入っては、仏法守護の神、韋駄天(いだてん)となったといわれている。[原 實]

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世界大百科事典内のスカンダの言及

【韋駄天】より

…サンスクリット語のスカンダskandaの音を写したもので私建陀,建陀とも表す。バラモン教の神で,シバ神またはアグニ神の子であるが,仏教に入って護法神や伽藍の守護神となった。…

【インド神話】より

…彼女はヒマラヤの娘とされ,また,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれる。軍神スカンダ(韋駄天)と象面のガネーシャ(聖天)は,シバとパールバティーの息子とされる。一方,ビシュヌは,すでに《リグ・ベーダ》に登場するが,元来,太陽の光照作用を神格化したものとみられる。…

【カダンバ朝】より

…カダンバ朝は,バラモンの出自(ゴートラ)を主張し,ベーダ文化の体現を誇示して支配者としての正統性を強調するいわゆる〈アーリヤ化Aryanization〉への志向を示したが,土着文化との融合も進められた。悪魔(ターラカ)を倒す一方で疫病神でもあるという複合的な性格をもち,シバ神の息子としてヒンドゥー教にとり込まれた軍神カールッティケーヤKārttikeya(スカンダSkanda)の崇拝は,その典型的な例であり,チャールキヤ朝等の後の王朝にも受け継がれた。また,ジャイナ教が栄えたことでも知られている。…

※「スカンダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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