サンスクリット語のスカンダskandaの音を写したもので私建陀,建陀とも表す。バラモン教の神で,シバ神またはアグニ神の子であるが,仏教に入って護法神や伽藍の守護神となった。南方増長天の八将の一人で,四天王に属する三十二将の長とされ,速やかに邪神を降伏させる。釈迦が涅槃(ねはん)のとき仏舎利を盗んだ捷疾鬼(しようしつき)を追ってそれを取り戻したという説話によって,足の速いことを〈韋駄天走り〉と呼ぶようになった。形像は経軌には説かれていないが,日本に現存する作例は,中国風の甲冑を着て合掌する立像であり,合掌した両腕の上に剣を横にしてささげ持つ姿に特色がある。この像をまつれば食事の不自由なしとして,禅宗寺院の厨房に安置された例が多く,著名な作例としては,京都泉涌寺や京都万福寺所蔵のものなどがある。
執筆者:関口 正之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
仏教の天神の一つ。ヒンドゥー教の軍神が仏教に取り入れられて、仏教の守護神になったもの。サンスクリット語ではスカンダSkandaとよばれ、これが塞建陀(そけんだ)、建陀(けんだ)などと訳された。「韋駄」(もしくは違駄)は「建駄」の誤字らしい。またスカンダは、アレクサンドロス大王の東方における呼び名イスカンダルIskandarに由来するといわれる。南方を守護する増長天(ぞうちょうてん)に属する八将の一つ。その像は甲冑(かっちゅう)を着け、合掌した腕の上に剣や独鈷(どっこ)をのせる。なお、疾走を意味する「韋駄天走り」という表現はこの神に由来する。
[定方 晟]
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「スカンダ」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…彼女はヒマラヤの娘とされ,また,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれる。軍神スカンダ(韋駄天)と象面のガネーシャ(聖天)は,シバとパールバティーの息子とされる。一方,ビシュヌは,すでに《リグ・ベーダ》に登場するが,元来,太陽の光照作用を神格化したものとみられる。…
…ヒンドゥー教の軍神,神々の将軍。カールッティケーヤ,クマーラなどとも呼ばれ,韋駄天,私建陀などと漢訳される。六面を持ち孔雀を乗物とする。…
※「韋駄天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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