韋駄天(読み)いだてん

デジタル大辞泉の解説

いだ‐てん〔ヰダ‐〕【韋駄天】

《〈梵〉Skandaの音写。塞建陀・建陀の「建」を「韋」に誤ったものか》増長天の八大将軍の一。仏法守護神。もとバラモン教の神で、シバまたはアグニ神の子。俗説に、仏舎利(ぶっしゃり)を盗んだ捷疾鬼(しょうしつき)を追いかけて取り返したというので、足の速い神とされ、足の速い人のたとえにされる。

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百科事典マイペディアの解説

韋駄天【いだてん】

仏教を守護する天部善神サンスクリットのSkandaの音訳四天王のうち南方増長天の八将の一人で,護法の善神,寺院の伽藍(がらん)を守る神。俗に足の速い神とされ,比丘(びく)の力弱く悪魔に悩まされるとき走り来たって救うためとも,仏入滅のとき,足疾鬼がその遺骨(仏舎利)を奪い逃げたのを追って取り戻したためともいう。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

韋駄天 いだてん

古代インドの神。
シバ神の子。バラモン教の神であったが,仏教に導入され,仏法や伽藍(がらん)の守護神とされる。甲冑(かっちゅう)をつけ,宝剣をささげもつ。釈迦が死んだとき仏舎利をぬすんだ魔を追跡してとりかえしたことから,足のはやい神とされる。私建陀(しけんだ),塞建陀(そけんだ)などともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

いだてん【韋駄天】

サンスクリット語のスカンダskandaの音を写したもので私建陀,建陀とも表す。バラモン教の神で,シバ神またはアグニ神の子であるが,仏教に入って護法神や伽藍の守護神となった。南方増長天の八将の一人で,四天王に属する三十二将の長とされ,速やかに邪神を降伏させる。釈迦が涅槃(ねはん)のとき仏舎利を盗んだ捷疾鬼(しようしつき)を追ってそれを取り戻したという説話によって,足の速いことを〈韋駄天走り〉と呼ぶようになった。

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大辞林 第三版の解説

いだてん【韋駄天】

Skanda 塞建陀と音訳〕
○ バラモン教の神。シバ神の子。仏教に入って仏法、特に僧や寺院の守護神。捷疾鬼しようしつきが仏舎利を持って逃げ去ったとき、これを追って取り戻したことからよく走る神として知られる。増長天八将軍の一。四天王三十二将の長。 「彼の制帽は駆け足の姿勢をとつて根拠地の方へ-の如く逃げて行く/吾輩は猫である 漱石
足の速い人。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

韋駄天
いだてん

仏教の天神の一つ。ヒンドゥー教の軍神が仏教に取り入れられて、仏教の守護神になったもの。サンスクリット語ではスカンダSkandaとよばれ、これが塞建陀(そけんだ)、建陀(けんだ)などと訳された。「韋駄」(もしくは違駄)は「建駄」の誤字らしい。またスカンダは、アレクサンドロス大王の東方における呼び名イスカンダルIskandarに由来するといわれる。南方を守護する増長天(ぞうちょうてん)に属する八将の一つ。その像は甲冑(かっちゅう)を着け、合掌した腕の上に剣や独鈷(どっこ)をのせる。なお、疾走を意味する「韋駄天走り」という表現はこの神に由来する。[定方 晟]

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世界大百科事典内の韋駄天の言及

【インド神話】より

…彼女はヒマラヤの娘とされ,また,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれる。軍神スカンダ(韋駄天)と象面のガネーシャ(聖天)は,シバとパールバティーの息子とされる。一方,ビシュヌは,すでに《リグ・ベーダ》に登場するが,元来,太陽の光照作用を神格化したものとみられる。…

【スカンダ】より

…ヒンドゥー教の軍神,神々の将軍。カールッティケーヤ,クマーラなどとも呼ばれ,韋駄天,私建陀などと漢訳される。六面を持ち孔雀を乗物とする。…

※「韋駄天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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