スパンベルグ(読み)Shpanberg,Martyn Petrovich

朝日日本歴史人物事典 「スパンベルグ」の解説

スパンベルグ

没年:1761(1761)
生年:生年不詳
18世紀ロシアのベーリング探検隊員。デンマーク出身。1720年ロシア海軍士官となり,第2次ベーリング探検隊(1734~43)では日本航海分遣隊長。彼の指揮するアルハンゲル・ミハイル号ほか2隻の帆船は元文4(1739)年5月奥州田代浜沖(宮城県)に出現,同隊の別の船は同じころ房州(千葉県)天津村入港,上陸した。日露直接交渉の発端となったこの「元文の黒船」事件は,幕府に衝撃を与えたが,庶民レベルでは友好的な交流が行われたことが,日露双方の史料からうかがえる。スパンベルグは「無学だが航海に熟練し,熱情的で活動的」と評され,乱暴で専制的な一面もあったようだが,北方からの日本への航路発見に成功し,千島列島を調査して南千島を初めてアカデミーの地図に記録させた功績は大きい。<参考文献>『通航一覧』273,大槻玄沢『北辺探事』,S.ズナメンスキー著・秋月俊幸訳『ロシア人の日本発見』,船越昭生『北方図の歴史

(鳥井裕美子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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