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通航一覧 つうこういちらん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

通航一覧
つうこういちらん

江戸時代の外交関係史料集。本文 350巻,付録 23巻,凡例総目2巻。幕府の命を受けて,大学頭林あきら (復斎) が史料を収集整理して嘉永3 (1850) 年に完成したもの。琉球,朝鮮,中国をはじめ,東南アジア,欧米諸国の国号の起源,統治者世系,日本との交通などを,いくつかの項目に分けて書いてある。永禄9 (1566) 年の安南船の三河漂着から文政8 (1825) 年の異国船打払令までを編年順に,文書,記録,随筆などを網羅して典拠をも明示し,対外政策の起伏,沿革を叙述し,末尾に海防事項を付加して時代の要請にこたえようとしている。掲載の文献は正確で,私見を加えていない。正編の草稿完成とともに,ペリー来航 (53) を中心とする外交問題の進展があり,続編の編纂を必要としたため,ほぼ同じ編者が同じ方針で安政1 (54) 年までを内容として同5年までに『通航一覧続輯』を完成。本文 152巻,付録 26巻となった。国書刊行会本正編復刻本の刊行に際して,続輯も 1968~73年に新たに刊行された。

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世界大百科事典 第2版の解説

つうこういちらん【通航一覧】

1853年(嘉永6)幕命により大学頭林韑(あきら)(復斎)が諸外国応接のための資料として編纂した江戸幕府の対外関係の事例集。三河時代から1825年(文政8)の異国船打払令までを含み,本編350巻,付録23巻。本編は関係諸国と長崎に部門を分け,それぞれ項目をたて編年順に関連史料を示す。付録は海防関係。引用史料は広範にわたり,記述は客観的で正確。日本近世の対外関係の基本史料。国書刊行会より刊行。【荒野 泰典】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通航一覧
つうこういちらん

近世末期、江戸幕府によって編纂(へんさん)された近世外交史料集成。林述斎(じゅっさい)の立案に係る徳川家創業を中心とする大規模な編纂事業の一環として、当時昌平坂(しょうへいざか)学問所内に設けられた記録所において林大学頭(だいがくのかみあきら)(復斎(ふくさい))の下で、宮崎次郎大夫成身以下11人の編纂員により、約4年の歳月を経て終了した。編纂の動機が当時日本をめぐる国際環境の急迫に対応するための修史事業であったことはいうまでもない。編纂開始の時期はかならずしも明瞭(めいりょう)ではないが、1850年(嘉永3)をさかのぼることあまり遠くない時期と考えられる。内容は、1566年(永禄9)三河国片浜浦に漂着した安南(アンナン)国船の事件に始まり、1825年(文政8)外国船打払令の公布までの対外交渉に関するおびただしい記録を、琉球(りゅうきゅう)、朝鮮、唐国、南蛮諸国、阿蘭陀(オランダ)、諳厄利亜(アンゲリア)(イギリス)、柬埔寨(カンボジア)、暹羅(シャム)、魯西亜(ロシア)、北亜墨利加(アメリカ)などの国別と長崎異国通商部とに2大別し、付録に海防などの史料を収めている。1825年をもってとどめたのは、凡例にみえる「これ彼船処置の一変せしによってなり」とあることにより察知できるが、編纂中、ペリー来航という衝撃的事件が発生したことで、続輯(ぞくしゅう)(これに対し以前のものを正編とよんでいる)の編纂の必要を生じたものと考えられる。そしてこの正編は1853年末か54年(安政1)の初めに完成し呈上したものと考えられる。本史料は収録史料名を明記しつつ、綱文をもってまとめるなど、きわめて良心的編纂であり、収録された史料のなかですでに散逸したものの多いことから、この分野の研究には第一級の史料として貴重なものである。全巻数は不明確であるが、現存のものは正編322巻、附録22巻、国書刊行会本は8冊よりなる。続輯は152巻、附録26巻、清文堂刊は5冊よりなる。[箭内健次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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