改訂新版 世界大百科事典 「スミチオン」の意味・わかりやすい解説
スミチオン
Sumithion
住友化学工業が開発した有機リン酸エステル系殺虫剤の商品名。一般名はMEP,フェニトロチオンfenitrothion。下に示した化学構造からも明らかなように,パラチオンにきわめて類似した構造を有しているが,哺乳類に対する急性毒性(マウス経口)LD50が1336mg/kgと,パラチオンに比べて著しく低いのが特徴である。殺虫活性はパラチオンに類似し,ニカメイチュウ,ウンカ,ツマグロヨコバイ,カメムシなどのイネの害虫のほか,モモシンクイガ,ハマキムシ,アブラムシ,シンクイムシなど広範な害虫に有効で,現在日本において最も多量に使用されている殺虫剤の一つである。パラチオンと同様に,神経系のアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することによって殺虫力を示す。
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報