パラチオン(読み)ぱらちおん(英語表記)parathion

翻訳|parathion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン
ぱらちおん
parathion

化学名O,O-diethyl-O-p-nitrophenylthiophosphateの国際的標準名。1944年にドイツで発明され、日本へはホリドールHolidolの商標名で輸入され、1952年(昭和27)からイネニカメイガなどの防除卓効があるので全国的に使われた。1958年から住友化学工業(現、住友化学)によって国産化され、多くの農薬会社が原薬を購入して製剤として発売した。農業振興(食糧増産)に非常に役だったが、中毒者などの多発により、1971年から日本では使用が禁止された。

[村田道雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン
parathion

C10H14NO5PS 。殺虫剤沸点 157~162℃/0.6mmHg の黄色液体。三塩化リン硫黄アルコール,ナトリウム,ニトロフェノールを原料として合成。リンを含み多くの有機溶媒可溶化合物。多くの昆虫 (特に二化めい虫) ,だになどに対して強力な殺虫効果があるが,定温動物に対しても強い毒性を示し,急性毒性があまりにも強いので,製造および使用を禁止された。類縁のメチルパラチオン C8H10NO5PS も強い殺虫力があるが,やはり定温動物に毒性が強く,製造,使用が禁止された。

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