ソデグロヅル(英語表記)Grus leucogeranus; Siberian crane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソデグロヅル」の意味・わかりやすい解説

ソデグロヅル
Grus leucogeranus; Siberian crane

ツル目ツル科。全長 125~137cm。羽色は全体に白色で,初列風切と初列雨覆,小翼羽のみ黒く,をたたんでいるときは真っ白に見える。成鳥の顔の前部は赤い皮膚が裸出する。脚は肉色。繁殖地はシベリア北部の東西に分かれ,西はオビ川下流域,東はサハ共和国ヤナ川アラゼヤ川の下流の間である。個体数は 3500~4000羽と推定され,ほとんどが東側の集団である。西側の集団はごく少数が生息しているだけで,絶滅したのではないかとも考えられている。渡り鳥で,中国南部のポーヤン(鄱陽)湖で越冬する。チャン(長)江三峡ダムなどの開発によって湖の環境が変化し,生息数の減少が懸念されている。世界のツル類で最も希少な種で,日本には少数だが,各地に迷鳥として渡来した記録がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソデグロヅル」の意味・わかりやすい解説

ソデグロヅル
そでぐろづる / 袖黒鶴
Siberian white crane
[学] Grus leucogeranus

鳥綱ツル目ツル科の鳥。希少なツル類の一つ。野生のソデグロヅルの個体数は、世界で約3000羽(2006年現在)と推定されている。全長約140センチメートル。全身白色で、初列風切(かざきり)と初列雨覆(あまおおい)だけ黒く、額、頭上、顔の前半部は赤い皮膚が裸出する。シベリア北西部のオビ川下流域と北東部のインジギルカ川下流域で繁殖し、冬期はカスピ海沿岸、インド北部、中国などで越冬する。日本には迷鳥としてごくまれに渡来する。この種の巣は、1960年に初めてツンドラ湿地で発見された。食物はおもに植物質で、とくに水草の根、茎を好むが、夏期にはレミングネズミもかなり食べるといわれる。

[森岡弘之]


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世界大百科事典(旧版)内のソデグロヅルの言及

【ツル(鶴)】より

…熱帯や南半球のものは留鳥だが,北半球の高緯度地方で繁殖する種は,冬季南へ渡って越冬する。日本では,タンチョウ(イラスト)が北海道に留鳥としてすみ,マナヅル(イラスト),ナベヅル(イラスト),クロヅル,カナダヅル(イラスト),アネハヅル,ソデグロヅルの6種が冬鳥または迷鳥として渡来している。 全長70~150cm。…

※「ソデグロヅル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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