フランスの化学者。パリ生まれ。ストラスブール大学卒業、1971年同大で博士号取得。1973年からイギリスのオックスフォード大学で博士研究員。1988年からフランス国立科学研究センター・リサーチディレクターなどを経て、2009年からストラスブール大学名誉教授。
1980年代から、数ナノメートル(ナノは10億分の1)のサイズの分子機械の研究に取り組んだ。二つの輪が知恵の輪のようにつながった構造の分子機械「カテナン(catenane)」の研究を進め、1983年カテナンの合成に成功。1994年までにカテナンの輪を電気化学的な酸化還元で回転させることに成功した。こうした極微小サイズの分子機械は、超小型コンピュータの開発や新素材のセンサー、エネルギー貯蔵システム、超小型ロボットなど多方面で応用できると期待されている。
1990年フランス科学アカデミー会員。1994年スイス・プレログ・ゴールドメダル、2008年ウッドワード賞などを受賞。2016年「分子機械の設計と合成を行った功績」によりイギリスの化学者フレーザー・ストッダート、オランダの化学者ベルナルト・フェリンハとノーベル化学賞を共同受賞した。
[馬場錬成 2017年3月21日]
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