タマムシ(英語表記)Chrysochroa fulgidissima

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タマムシ
Chrysochroa fulgidissima

鞘翅目タマムシ科。体長 30~41mm。体は細長い紡錘形。背面は比較的平らで腹面は強くふくらむ。全体金緑色であるが,前胸背の2縦条,上翅の2縦条は紫銅色で,腹部は金赤色である。成虫は7~8月頃出現し,樹木の梢近くを飛ぶ。幼虫エノキケヤキ,カキ,サクラなどの衰弱木の材部を食べる。本州以南台湾まで分布するが,奄美・沖縄諸島に産するものはオオシマルリタマムシ C. alternansと呼ばれる別種である。なおタマムシ科 Buprestidaeは小型種が多く,全世界に約 6000種,日本に約 170種を産する。幼虫は樹木の材部に穿孔するもののほか,葉肉に潜入するものや草本の茎に食入るものもある。

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百科事典マイペディアの解説

タマムシ

タマムシ科の甲虫の1種。ヤマトタマムシともいう。体長35mm内外,金緑色,2本の銅紫色の縦条がある。寒冷地を除く日本各地,朝鮮南部,台湾に分布。幼虫はサクラ,エノキ,ケヤキ,カシなどの衰弱木の材部を食べ,成虫になるのに約3年を要する。翅が堅固なので古来から種々の装飾品に利用されている。タマムシ科は熱帯に種類が多く,日本には約150種。ウバタマムシ,クロタマムシ,キンヘリタマムシなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タマムシ
たまむし / 吉丁虫・玉虫
[学]Chrysochroa fulgidissima

昆虫綱甲虫目タマムシ科に属する昆虫。ヤマトタマムシともいう。本州、四国、九州、および朝鮮半島南部、台湾に分布する。美しい甲虫としてよく知られる。体長3~4センチメートル。金属緑色で背部両側に銅紫色の縦条があり、体形は舟形である。雌雄は似ているが、雄は腹端が三角に切れ込む。成虫は7、8月ごろ現れ、ケヤキ、エノキ、カシ、サクラなどの老木の梢(こずえ)の周囲を飛ぶ。幼虫はこれら樹木の材部に食い入る害虫。成虫は美しいので昔はたんすに入れると衣装が増えるなどといわれ、有名な玉虫厨子(たまむしずし)にはこの虫の上ばねが多数用いられている。同属の日本産にはオガサワラタマムシC. holstii(小笠原諸島(おがさわらしょとう)の父島、母島)、オオシマルリタマムシC. alternans(奄美大島(あまみおおしま))などがある。
 タマムシ科Buprestidaeの昆虫は広く世界に分布するが、とくに熱帯域に多く、一万数千の種が知られ、日本にも200近い種が産する。一般にこの類は体が堅くてじょうぶで、2ミリメートル前後の小形種から10センチメートルに近い大形種まであり、金属光沢をもつ美しい種も多く、熱帯域には装飾に用いられるような種類もある。幼虫は弱った木や枯れ木の幹、根、枝に食い入るものが多く、体は長くてやや平たく、前胸だけが他の節より大きく、各節の間は多少ともくびれるのが普通で、脚(あし)は退化している。小形の種類には、ホソツツタマムシParacylin dromorphusのように草の茎に食い入るものや、チビタマムシ属Trachysなどのように草や木の葉に潜入するものが多い。これらの類では食害する植物が種によって決まっていることが多いが、これは生きた植物を食することによるのであろう。
 日本産の種には、マツ類を害するウバタマムシChalcophora japonica、クロタマムシBuprestis haemorrhoidalis、ヒノキやスギを加害するマスダクロホシタマムシOvalisia vivata、クリの害虫として知られるクリタマムシToxoscelus auriceps、ミカン類につくミカンナガタマムシAgrilus auriventrisなどもあり、ナガタマムシ属Agrilusは数十種が知られ、もっとも種類が多い。[中根猛彦]

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