タルト(その他表記)tarte[フランス]
tart

デジタル大辞泉 「タルト」の意味・読み・例文・類語

タルト(〈フランス〉tarte)

パイ一種果物などをパイ皮の上にのせて焼いたもの。タート

タルト(〈オランダ〉taart)

ゆずあんカステラで巻いた菓子愛媛県松山の名産

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「タルト」の意味・読み・例文・類語

タルト

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [オランダ語] taart ) 柚餡(ゆずあん)をカステラで巻きグラニュー糖をまぶした菓子。愛媛県松山市の名産。南蛮菓子の流れをひくと伝えられる。〔柿の蔕(1940)〕
  3. ( [フランス語] tarte ) パイ生地に果物、ジャムチョコレートクリームなどを詰めて焼いた菓子。
    1. [初出の実例]「ニューグリルで、ポタージュ、マカロニグラタン、コールビーフ、苺のタルト」(出典:古川ロッパ日記‐昭和一三年(1938)二月五日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「タルト」の意味・わかりやすい解説

タルト
tarte[フランス]
tart

パイの一種。ふつう薄くのばした練り込みパイ生地を円形のタルト型に敷き,果物,カスタードクリーム,ジャムなどを詰めてオーブンで焼くか,生地だけを先に焼いてから材料を詰めたもので,とくに上にパイ生地をかぶせないものを指す。イギリスでは一般に浅いものはタルト,深いものはパイと区別し,上にもパイ生地をかぶせた平たい果物のパイをタルトと呼ぶこともある。フランスでは,フランという底のない型を用いることからフランflanと呼ぶことも多い。また型に敷いたパイ生地の上に,卵黄,生クリームのほかチーズ,ハム,エビ,カニなどを混ぜて詰め,表面をこんがりと焼いた料理のタルトもある。ふつう直径約20cmのタルト型を用い,直径5~7cmの小さな型で作ったものはタルトレットと呼んでいる。なお愛媛県松山市の名物にタルトと呼ばれる菓子がある。これはカステラの中に小豆あんを渦巻状に巻き込んだもので,南蛮菓子の系譜をひくものと思われる。
パイ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タルト」の意味・わかりやすい解説

タルト
たると
tarte フランス語

洋菓子の一種。小麦粉とバターを混ぜ合わせた生地(きじ)をタルト皿に敷き、果物、ジャム、チョコレート、クリームなどの中身を詰めて焼く。先に生地だけを焼いて後から中身を詰めるのもある。普通8人前か10人前に切り分けて供するが、小形のものをとくにタルトレットtarteletteという。

 愛媛県松山市のタルトは、ゆず餡(あん)をカステラで巻いた和洋折衷生菓子で、松山名物である。1645年(正保2)に長崎探題となった松山藩主久松定行(ひさまつさだゆき)が、出島のオランダ商館で賞味したのがきっかけと伝えられる。その味が忘れられず、帰任後に城下の菓子屋に命じてつくらせた菓子というが、当時の松山のタルトはこし餡を軽羹(かるかん)で巻いた菓子とも伝えられており、南蛮菓子とはほど遠いものであった。一説では1787年(天明7)に松平定信(さだのぶ)が倹約令を発し、南蛮菓子製造を禁じたので、姿を変えて継承されたともいう。タルトがロールカステラ風になったのは現代のことである。

[沢 史生]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「タルト」の意味・わかりやすい解説

タルト

パイ菓子の一種で,パイ生地の上に果物,カスタードクリーム,ジャムなどをのせたもの。他に愛媛県松山の名物菓子で,ユズ入りのアズキ餡(あん)を柔らかく焼いたカステラで巻いた棹(さお)菓子もタルトと呼ぶ。
→関連項目パイ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「タルト」の解説

タルト[菓子]
たると

四国地方、愛媛県の地域ブランド。
主に松山市で生産されている。17世紀中頃、初代松山藩主・松平定行がポルトガル船が入港した長崎から製法を持ち帰ったという。カステラ生地で餡を巻く方法は、独自に考案されたもの。明治時代以降、松山の菓子司に製法が伝わった。和洋折衷の菓子であるが油脂を全く使っていない。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「タルト」の解説

タルト【tarte(フランス)】

洋菓子の一種。パイ生地やビスケット生地を型に敷いて焼き、各種のクリーム・果物・チーズなどを詰めたもの。具材を詰めてから焼くものもある。菓子をさすことが多いが、塩味の具材をのせた料理もある。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「タルト」の解説

タルト〔キャラクター〕

愛媛県松山市で主に活動するキャラクター。タルトレンゴウ所属。同県の郷土菓子「タルト」をイメージ。伊予弁を話す宇宙人。地域の活性化の目的で個人が制作。おもに県内でグッズ展開をしている。

タルト〔菓子〕

愛媛県の名物菓子。こし餡をカステラ生地で巻いたロール状の半生菓子。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

栄養・生化学辞典 「タルト」の解説

タルト

 (1) あんをカステラで巻いた菓子.(2) 果物の入った薄いフランスの小型のパイ.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のタルトの言及

【パイ】より

… 練込みパイ生地の菓子には,円形のパイ皿に生地を敷き,果物を詰めて焼いたり,あるいはパイ皿に敷いた生地を先に焼いてから中にカスタードクリームなどを詰めたり,その上にさらに果物やナッツ類を飾ったものなどがある。このような上から生地をかぶせないパイは,タルトと呼ぶことが多い。タルトレットtarteletteはタルトの小型のもの,バルケットbarquetteは小さな舟型で焼くもの。…

※「タルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android