日本大百科全書(ニッポニカ) 「タンカン」の意味・わかりやすい解説
タンカン
たんかん / 桶柑
[学] Citrus tankan Hayata
ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑低木。スイートオレンジとポンカンまたはミカン類のある種との雑種といわれる。果実は球形で約150グラム、2~3月に熟す。果面は橙黄(とうこう)色、果皮は厚さ3~4ミリメートルでむけやすい。瓤嚢(じょうのう)(袋)数は9、10個。果肉は濃橙色で、甘味と酸味が調和して香気がある。種子は2、3個で多胚(はい)性であるが、種子のないものもある。品質は優秀。中国広東(カントン)省原産で、中国大陸南部と台湾北部に良品がある。日本へは1896年(明治29)に導入されたが、注目され始めたのは昭和に入ってからである。九州南部と沖縄で栽培される。2015年(平成27)の生産量は3270トンである。
[飯塚宗夫 2020年10月16日]