デジタル大辞泉 「丹」の意味・読み・例文・類語
たん【丹】
2 黄色みを帯びた赤色顔料。日本画に用いる。鉛の酸化物で、人工的に製造される。鉛丹。黄丹。
3 薬。特に、道家における長寿・不老不死の薬。
「―を練り、真を修し、天地とともに
[類語]赤・真っ赤・
に【▽丹】
1 赤い色。丹色。「
2 赤い色の顔料に用いる赤土。
「
[類語](1)赤・真っ赤・
( [ 一 ]③及び[ 三 ]について ) 道家では水銀に不老長生の効果があると信じられ、「経進地仙丹」「伏虎丹」「養生丹」といった神仙薬が作られた。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国,道教でいう不老長生を得るための薬。晋の葛洪の《抱朴子》では,不老長生を得るには,金丹を服薬することが最も肝要であるとする。金丹の金はその火で焼いても土に埋めても不朽である点が重んじられ,丹の最高のものは九転の丹で,焼けば焼くほど,霊妙に変化する点が重んじられ,この九転の丹を服用すると3日で仙人になれると説く。また丹華,神符,神丹,還丹,餌丹,錬丹,柔丹,伏丹,寒丹の九丹が説かれ,寒丹を1匙ずつ100日服用すれば仙人になり,仙童仙女がそば仕えをし,翼を用いずに軽やかに空を飛行できるとする。丹の材料は,たとえば,九光丹では,丹砂,雄黄,白礜(はくよ),曾青,茲石等であり,丹を作る際には人里離れた名山に行き,斎戒沐浴して身辺を清潔にせねばならないとされる。丹を作る方法としては,務成子丹法等,多くの方法が説かれる。後世,紫陽真人張伯端(987-1082)の金丹道系の道教では,この丹を服用する方法のほかに,人間の身体の中の気の運用により,内部に金丹を作り不老長生を得る内丹の法が主張された。
→仙薬 →練丹術
執筆者:砂山 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…後世になると,水銀に硫黄を反応させて種々の色調の朱を作っている。赤色には他に酸化鉄を主成分とする朱土や岱赭(たいしや)などがあり,明るいオレンジ色の丹(たん)も古くから知られた。丹は四三酸化鉛を主成分とする。…
…当然,遠古の日本列島住民においても同断である。最古の史料《魏志倭人伝》に〈倭地温暖,冬夏食生菜,皆徒跣,有屋室,父母兄弟臥息異処,以朱丹塗其身体,如中国用粉也〉とみえ,倭人が朱(水銀系の赤色顔料)で身体装飾をしていたらしいのを知る。この水銀朱は縄文後期にあらわれ,弥生時代や古墳時代にはかなり広くおこなわれた。…
※「丹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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