日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイオウヤシ」の意味・わかりやすい解説
ダイオウヤシ
だいおうやし
royal palm
[学] Roystonea
ヤシ科(APG分類:ヤシ科)ダイオウヤシ属の総称。アメリカ・フロリダ州からバハマ諸島、キューバ、ジャマイカ、ハイチ、ドミニカ共和国、プエルト・リコ、トリニダード・トバゴ、ガイアナ、ベネズエラに14種3変種が自生している。
幹は単一で円柱状、高さ6~40メートル、径0.7~1メートル。種類によって幹の高・中・下部のいずれかが肥大する。幹肌は灰色、平滑で、葉痕(ようこん)が環紋をつくる。
葉は羽状全裂葉、濃緑色で光沢がある。長さ2~5メートル、小葉は披針(ひしん)形、長さ0.75~1メートル、幅2.5~5センチメートル、葉並びは乱れる。葉鞘(ようしょう)は筒状で長さ1.2~1.8メートル。花は肉穂花序につき、雌雄同株の単性花。肉穂花序は葉鞘落下後に葉痕の上縁に着生して成長し、仏炎包は長さ1.3メートル、花柄は長さ1~2メートル。雌花は枝柄の基部近くに着生する。雌花の両側に1個ずつ雄花があるが、他の雄花は枝柄の先端に密生する。雌花には6本の無精の雄しべがあり、雄花には不稔(ふねん)の雄しべがある。果実は卵形で長さ2センチメートル、胚(はい)は底部にある。
街路樹など観賞用に適し、もっとも普及しているダイオウヤシ(キューバダイオウヤシ)R. regia O.F.Cookは幹の高部が肥大する。またセダカダイオウヤシR. oleracea O.F.Cookは本属中の最大形で高さ30~40メートル、幹は等径で1~1.7メートル、芯芽(しんめ)を食用とする。
[佐竹利彦 2019年4月16日]