チップ(読み)ちっぷ(英語表記)chip

翻訳|chip

デジタル大辞泉 「チップ」の意味・読み・例文・類語

チップ(tip)

サービスや芸などに対する慰労や感謝の気持ちとして与える少額の金。心付け。祝儀。「チップをはずむ」
ファウルチップ
ピペットチップ
[類語](1心付け祝儀おひねり

チップ(chip)

切れ端・小片の意》
ルーレットポーカーなどで用いる、け金代わりの小札。
パルプの原料にする木材の細片。
野菜・果物などの薄い輪切り。「ポテトチップ
集積回路を作りつけた半導体基板の小片。

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精選版 日本国語大辞典 「チップ」の意味・読み・例文・類語

チップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] tip )
  2. サービスや芸に対して慰労・賞賛などの気持で与える、規定の料金以外の少額の金銭。こころづけ。祝儀。花。
    1. [初出の実例]「彼得堡(ペテルブルク)ばかり小うるさく酒手(チップ)を取らるる所はなし」(出典:大英游記(1908)〈杉村楚人冠〉前記)
    2. 「この人にゃ特別に沢山ティップを置いて行ってくれ」(出典:路上(1919)〈芥川龍之介〉三一)
  3. 野球で、ボールが打者の振ったバットをかすって後方に飛ぶこと。ファウルチップ。
    1. [初出の実例]「ファウルやチップを重ねた後で」(出典:胡桃割り(1948)〈永井龍男〉)
  4. ボールペンの先端。

チップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] chip )
  2. ルーレットやポーカーなどで、賭金代わりに用いられる象牙やプラスチックなどで作られた賭札。
  3. 木材を小片にしたもの。パルプの原料。
  4. 野菜・果物などの薄い輪切り。「ポテトチップ」
  5. 集積回路を作りつけた半導体基板の小片。〔マイ・コンピュータ入門(1977)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チップ」の意味・わかりやすい解説

チップ
ちっぷ
chip

小片。一般に木材を小片にした木材チップを意味する。縦約3センチメートル、横約4センチメートル、厚さ約0.4センチメートルの木片に刻んだもので、おもにパルプの原料として、一部は繊維板の原料として消費される。

 木材は蒸解(煮てパルプ化すること)する際に蒸解薬液を用いるが、丸太のままでは薬液の浸透が悪いのでチップ状にする。したがって密度が小さく液の浸透が比較的容易な針葉樹チップは大きく、密度が高く浸透の悪い広葉樹のチップはかなり小さめに製造される。

 チップそれ自体は、かつてパルプ工場および繊維板工場のなかで剥皮(はくひ)した丸太からチッパー(チップ製造機)を用いて製造され消費されていた。日本では1955年(昭和30)ごろから木材資源の不足から丸太が入手困難となり、廃材や薪炭(しんたん)材がパルプ工場の外でチップ化されるようになり、1964年、日本のチップ専用船が北米から木材チップの輸送を開始するに及んで、チップは国際商品として流通するようになった。

 2014年(平成26)に日本でパルプ生産に利用されたチップは2925万7000立方メートルであるが、そのうち国産チップは926万6000立方メートル(針葉樹材719万9000立方メートル、広葉樹材206万7000立方メートル)、輸入チップは1999万1000立方メートル(針葉樹材360万1000立方メートル、広葉樹材1639万立方メートル)となっている。日本は国土の約3分の2が森林でありながら、山が急峻(きゅうしゅん)なため伐採や搬出に費用がかかるので、安い輸入材に頼る割合が多い。パルプ生産用チップは、総計上は国産原料が31.7%、輸入原料68.3%となっているが、国産の廃材チップも多くは輸入廃材を原料としていると考えられるため、日本のパルプ工業の原料はほとんど外材に依存しているといえよう。

[御田昭雄 2016年4月18日]

『日本製紙連合会編・刊『森林はパートナー』(2000)』

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改訂新版 世界大百科事典 「チップ」の意味・わかりやすい解説

チップ

英語tipからとり入れられた語で,目下の者に奉仕の礼として与える小額の礼金の意。英語の語源については諸説があり,決定的な説はない。to insure promptness(〈必ず早くやってもらえるように〉の意)の頭文字をとったもの,という一見うがった説もあるが,これは根拠がない。《オックスフォード英語辞典》によると,〈軽く打つ,たたく〉という意味が,17世紀に悪漢の隠語として〈与える,渡す〉の意味になり,それがさらに現在の意味に変わったのではないかと思われるが,同辞典も確定的ではないと認めている。示されている用例によると,動詞(チップをやる)の初出例は1706年,名詞は1755年であるから,この習慣が一般的になったのは18世紀の少し前あたりからであろう。初めは渡す方の好意で,特別の場合に限られていたが,現在ではほとんど義務的に近くなっているのが一般の趨勢である。〈サービス料,奉仕料〉としてあらかじめ勘定に含める場合もある(日本ではこれが多い)が,直接手渡す習慣が行きわたっている国が,いまでも欧米に多い。フランスなどチップを課税対象としている国もあるから,強硬執拗に要求する側にも言い分があり,渡す側からすると何%が適当かと悩むこともしばしばある。食堂やカフェなどで客に席を選ぶ自由を与えず,給仕が一方的に指定することが多いのも,給仕ごとに席の受持ちが定められており,チップ収入の不平等が起こらないようにするためである。
執筆者:


チップ
chip

一般に木材を小片にしたものを(木材)チップといい,パルプ,パーティクルボードファイバーボード製造の原料として用いられる。通常その大きさは,繊維方向の長さ15~25mm,厚さ4mm程度といわれている。チップ原木としては間伐材などの小径木,林地残廃材のほか最近では製材廃材,合板工場・家具工場の廃材,さらにパレット,包装箱,住宅などの解体材も対象とされる。チップの製造工程は,使用される原料によって異なるが,丸太の場合,剝皮,チップ化およびふるい分けの作業に分かれ,それらに対する使用機械は,バーカー,チッパー,チップスクリーンで,これらがセットとして用いられる。なお,パーティクルボード製造においては,ここでいう原料チップをさらに切削,精砕して所定の形状に調整した木材小片を用いるが,この木材小片をもチップと呼ぶ。この場合,素材丸太から直接パーティクルボード用チップに切削する場合も多い。

 主たる需要者である紙・パルプ工業は,昭和40年代後半から輸入チップへの依存度を強めている。これは原料の安定的確保を目的としたものであるが,輸入チップ価格の高騰など大きな問題となっている。世界的に資源的制約の強まりから木材チップの需要の逼迫(ひつぱく)が想定され,国内供給体制の整備が望まれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チップ」の意味・わかりやすい解説

チップ
chip

チッパーで製造する木材の小片で,化学パルプ製造用やファイバー・ボード原料として木釜に使用する。パルプ用材からだけでなく,製材時の廃材からの生産も多く,日本のパルプ用材は9割以上をチップ材が占めており,原木の利用は1割にも満たない。パルプ用材樹種も従来は軟材の針葉樹が多く使われていたが,近年は広葉樹の割合が高くなってきている。なお下級古紙を原料とする板紙をさす言葉として用いられることもある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「チップ」の解説

チップ

「小片」という意味で、小さな半導体の板に複数の電子部品を埋め込んだ集積回路のこと。ウエハーと呼ばれる半導体基板の上に、トランジスターや抵抗、コンデンサーなどによる多数の回路が埋め込まれている。ICやCPUなどの俗称としても使用される。

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百科事典マイペディア 「チップ」の意味・わかりやすい解説

チップ

ホテル,レストラン等の従業員の労務に対し客が任意に払う金銭。日本でも江戸時代以来,〈茶代〉として宿賃以外に心付けを置く習慣があった。昭和初年に宿泊料の10〜15%をサービス(奉仕)料として加算,心付けは廃止された。

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デジタル大辞泉プラス 「チップ」の解説

チップ

国際サッカー連盟(FIFA)が主催するFIFAワールドカップ、1974年第10回旧西ドイツ大会の公式マスコット。

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世界大百科事典(旧版)内のチップの言及

【集積回路】より

…ICは所定のウェーハー処理工程の後,1辺が数mm~3cm程度の単位ごとの小片に切断される。これをチップchipまたはダイdieと呼ぶ。 トランジスター,ダイオード,抵抗,キャパシター(静電容量)のような,電子回路を構成する要素を回路素子という。…

【家】より

…ただ,こうした個々の現象のみで,中国社会にいまなお色濃く残存する家父長的支配関係に端的にあらわれる〈家〉的なものをつき崩す力になりえないことは明らかで,この問題のこれからの行方はいまなおはかりがたい。家族法宗族宗法【吉田 富夫】
【朝鮮】
 日本語の〈いえ〉に最もよく対応し,頻繁に用いられるのは固有語の〈チプchip〉である。これは家屋・空間としての住居,およびそこに居住する社会集団としての世帯をさし,さらには世帯をこえて広がる血縁集団をさして用いられることもある。…

【集積回路】より

…ICは所定のウェーハー処理工程の後,1辺が数mm~3cm程度の単位ごとの小片に切断される。これをチップchipまたはダイdieと呼ぶ。 トランジスター,ダイオード,抵抗,キャパシター(静電容量)のような,電子回路を構成する要素を回路素子という。…

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