チャンチンモドキ(英語表記)Choerospondias axillaris(Roxb.)Burtt et A.W.Hill

改訂新版 世界大百科事典 「チャンチンモドキ」の意味・わかりやすい解説

チャンチンモドキ
Choerospondias axillaris(Roxb.)Burtt et A.W.Hill

日本では鹿児島県の北西部や天草に見られるウルシ科の落葉高木で,高さ30mに達する。樹皮灰褐色で縦裂し,片状にはげ落ちる。葉は互生し,奇数羽状複葉,長さ20~30cm。膜質の小葉は7~9枚,卵形ないし卵状長楕円形雄花は若枝の葉腋(ようえき)に長さ3~4cmの円錐花序に集まる。日本では初夏に開花する。萼片は楕円形でふちに微毛がある。花弁は長さ約3mmで,上方はやや外曲する。おしべは10本で花弁と同長。雌花は雄花よりも大きく,枝のより上部に単生する。子房は5室。果実は肉質,楕円形の核果で,長さ2~3cm,黄色,内果皮は骨質で硬く頂部に5個の小孔がある。日本,中国,タイ,インドに分布する。材として用い,中国では樹皮と果実を薬用とする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャンチンモドキ」の意味・わかりやすい解説

チャンチンモドキ
ちゃんちんもどき
[学] Choerospondias axillaris (Roxb.) B.L.Burtt et A.W.Hill

ウルシ科(APG分類:ウルシ科)の落葉高木。葉は互生し、奇数羽状複葉で長さ15~25センチメートル、小葉は対生し、7~13枚で毛がなく、卵状長楕円(ちょうだえん)形、長さ4~8センチメートル、先は長くとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)がない。初夏に集散状の円錐(えんすい)花序を出し、株により雌花、雄花、または両性の小さい5弁花をつける。雄しべは10本、柱頭は5裂する。核果は楕円形、長さ約2センチメートルで黄色に熟し、酸味がある。九州(熊本、鹿児島県)にまれに自生し、中国、インドシナ、インドに分布。センダン科(APG分類:センダン科)のチャンチンに似ているのでこの名がある。

小林義雄 2020年9月17日]

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