日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャンチン」の意味・わかりやすい解説
チャンチン
ちゃんちん
[学] Toona sinensis (A.Juss.) M.Roem.
Cedrela sinensis A.Juss.
センダン科(APG分類:センダン科)の落葉高木。ライデンボクともいう。高さ20~30メートル。樹皮は灰褐色で縦に裂け、薄くはげる。葉は互生し、偶数または奇数の羽状複葉で長さ25~50センチメートル。小葉は5~11対あり、卵状長楕円(ちょうだえん)形で長さ約10センチメートル。7月ころ、枝先に大きな円錐(えんすい)花序を頂生し、小さな白色花を多数開く。花弁、萼片(がくへん)はともに5枚、雄しべと退化した雄しべが各5本ある。蒴果(さくか)は長楕円形で長さ約2.5センチメートル、秋に褐色に熟し、毛はなく、5中裂して多数の種子を出す。種子は上部にある翼とともに長さ1.5~1.7センチメートル。中国原産で室町時代には日本に渡来していたようで、一条兼良(いちじょうかねら)(1402―1481)の『尺素往来(せきそおうらい)』に記されている。和名のチャンチンは、本種の中国名である香椿(シャンチュン)が転訛(てんか)したもの。街路樹、庭木として植えられ、新芽は赤くて美しく、特有のにおいがあり、普茶料理に用いられる。材は心材が紅褐色で美しく、家具、楽器、建築材などにする。
[小林義雄 2020年10月16日]
若芽にはガーリックに似た強い香りがあり、香辛料として用いられる。油で炒(いた)めたり、汁の具として使われることが多い。
[齋藤 浩 2020年10月16日]