ツキノワグマ(英語表記)Selenarctos thibetanus; Asian black bear; Himalayan black bear

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ツキノワグマ
Selenarctos thibetanus; Asian black bear; Himalayan black bear

食肉目クマ科。体長 1.5m内外,体重 80~150kg。全身黒色で,胸の部分に白色の月の輪状の斑紋がある。ただしこの紋は,中央で切れたり,消失したりすることもある。雑食性で,木の芽,果実,蜂蜜をはじめアリ,哺乳類などを食べる。積極的に人畜を襲うことはほとんどない。おもに夜行性で,木登りがうまい。寒い地方では冬の間,樹洞や土中の穴などで冬ごもりし,その間に1~3子を産む。アジアの東南部に分布し,日本では亜種 S. t. japonicusが本州,四国の森林地帯に生息する。北海道にいるヒグマに次ぐ大型の陸上食肉類。胆嚢を乾燥したものを「熊の胆」と称し,健胃・強壮薬として用いている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ツキノワグマ

中国東北部、台湾、東南アジア北部などに広く生息する。日本では本州以南に生息、森林性哺乳類では最大種。国はこれまで西日本など6地域の個体群を「絶滅危惧種」に指定していたが、8月末に公表した野生生物の「レッドリスト改訂版で、九州地方のツキノワグマを「絶滅」とした。

(2012-09-04 朝日新聞 朝刊 宮城全県 2地方)

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百科事典マイペディアの解説

ツキノワグマ

ヒマラヤグマ,クロクマとも。食肉目クマ科の哺乳(ほにゅう)類。体長1.2〜1.9m,尾8cmほど。体は黒色で,普通,前胸に三日月状の白斑をもつ。東アジアに分布し,日本の亜種ニホンツキノワグマは本州,四国,九州に産する。山地の落葉広葉樹林に好んですみ,おもに夜出歩き,草,果実,カニ,アリなどを食べる。晩秋から大木の樹洞などで冬眠,そこで普通2子を生む。肉は食用,毛皮は敷物にされ,胆嚢は熊の胆(い)と称し健胃剤として珍重される。駆除と天然林伐採により絶滅の恐れがある。
→関連項目クマ(熊)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ツキノワグマ
つきのわぐま / 月輪熊
Himalayan black bearAsiatic black bear
[学]Selenarctos thibetanus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。アジアクロクマ、ヒマラヤグマの名もある。アフガニスタン、イランからアムール川以南のアジア大陸東部、海南島、台湾、日本まで東アジアに広く分布する。頭胴長1.9メートル、最大体重は雄で210キログラム、雌で170キログラムの記録がある。毛は黒く、普通、前胸に三日月状の白斑(はくはん)、いわゆるツキノワ(月輪)があるが、地域によってはこの白斑をもたないものがある。
 日本のものはこの1亜種でニホンツキノワグマS. t. japonicusとよばれ、本州、四国に分布するが、九州では絶滅したものとみなされている。西日本での分布域の減少が著しい。
 春はフキ、スゲなどの草本、タケノコ、秋はミズナラ、ミズキ、ヤマブドウなどの樹木の実を主として食べるほか、アリやハチも好む。樹洞や岩穴などに入って冬ごもりし、この間、雌は1~2子を産む。春先、冬ごもり穴から出てきたクマは、越冬前に比べ体重が約20%も減少している。[渡辺弘之]

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