みずなら

精選版 日本国語大辞典 「みずなら」の意味・読み・例文・類語

みず‐ならみづ‥【水

  1. 〘 名詞 〙 ブナ科の落葉高木。各地の山地に生える。高さ約二〇メートル。葉は枝先に密生し倒卵形で縁に粗い鋸歯(きょし)があり、長さ一〇~二〇センチメートル。雌雄同株。五月ごろ、花被のない小さな単性花を穂状につける。雄花穂はひも状で新枝の基部から垂れ、長さ六~九センチメートル、雌花穂は短く葉腋につく。果実は卵状長楕円形で長さ約二・五センチメートル。殻斗は椀状で外面鱗片を密生する。樹皮染料、材は器具・建築・薪炭用、またシイタケ栽培の原木に使われる。おおなら。〔日本植物名彙(1884)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「みずなら」の意味・わかりやすい解説

ミズナラ
みずなら / 水楢
[学] Quercus crispula Bl.
Quercus mongolica Fisch. var. grosseserrata Rehd. et Wils.

ブナ科(APG分類:ブナ科)の落葉高木。コナラナラガシワとともに、単にナラとよぶことがある。高さ25メートル、直径1.5メートルに達する。樹皮は灰褐色で深い不規則な裂け目がある。形態は全般的にコナラに似るが、葉は長さ8~14センチメートルと大きく、逆に葉柄は2ミリメートル以下と短い。堅果は卵状楕円(だえん)形で、1.5~2.5センチメートル、濃褐色に熟し、殻斗(かくと)は椀(わん)形で小鱗片(りんぺん)を密布し、堅果の2分の1ほどを包む。ブナとともに日本の温帯林の優占種となり、果実はクマ、サル、リス、ネズミ類、カケスまたシギゾウムシ類の餌(えさ)となっている。陽樹であり、森林内には稚樹はほとんど育たないが、日当りがよく、土の深い緩斜面では初期成長は旺盛(おうせい)である。樹齢は普通300年以上と長い。鹿児島県高隈(たかくま)山を南限とし、北海道まで広く分布する。母種とされたモンゴリナラQ. mongolica Fisch.は、本州北部、北海道、および千島列島、朝鮮、樺太(からふと)(サハリン)、東シベリアに広く分布する。変種のミヤマナラvar. horikawae H.Ohba(var. undulatifolia Kitam. et Horik.)は日本海型気候の多雪地の急斜面に生育し、幹は伏臥(ふくが)し低木状になる。

 材は重硬で、心材は黄褐色、髄線などの木理も美しく、昔はヨーロッパに家具材として輸出されていた。近年は日本でも高級家具材として貴重な存在になってきた。名は、材に水分が多く、燃えにくいことからきたという。樹皮は厚く、カシワとともに山火事跡地に成林することも多い。

[萩原信介 2020年1月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「みずなら」の意味・わかりやすい解説

ミズナラ(水楢)
ミズナラ
Ouercus mongolica var. grosseserrata

ブナ科の落葉高木。オオナラともいう。日本全土,千島,サハリンに分布する。近縁種のコナラよりも標高の高い落葉樹林上部 (いわゆるブナ帯) に生じる。幹は高さ 20~30m,樹皮は黒褐色,粗大な割れ目が縦に入る。冬芽は卵状球形,くり褐色の鱗片で包まれる。葉は柄がごく短く倒卵形,先は鋭尖形で鋭い鋸歯がある。雌雄同株で,5~6月に,長い尾状花序の雄花を枝の基部につけ,花は黄褐色で小さい。雌花序は短く枝の先につき,1~3個の花をつける。堅果は秋に熟し,卵状楕円形で濃褐色,殻斗 (かくと) は椀形で小鱗片が密生する。家具材,建築材,器具材として利用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「みずなら」の意味・わかりやすい解説

ミズナラ

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百科事典マイペディア 「みずなら」の意味・わかりやすい解説

ミズナラ

ナラ

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世界大百科事典(旧版)内のみずならの言及

【コナラ】より

…薪炭材にしたり,落葉を肥料にするなど農山村の生活と密接なかかわりを持っていた。材は建築,家具などに用いられるが,ミズナラほど優秀でない。 ミズナラQ.mongolica Fischer var.grosseserrata (Bl.) Rehd.et Wils.はコナラより高い所に生え,大木で森林をなす。…

※「みずなら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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