日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツツジ科」の意味・わかりやすい解説
ツツジ科
つつじか
[学] Ericaceae
双子葉植物、合弁花類。高木または低木。葉は単葉で互生するが、対生または輪生のものもあり、常緑または落葉性。花は両性で、まれに単性のものもある。一般に5数性で放射相称であるが、3~7数性で左右相称のものもある。雄しべは普通5本または10本。子房は上位または下位で一般に5室からなり、多数の胚珠(はいしゅ)がある。果実は蒴果(さくか)または液果で、多くの小さな種子がある。世界の熱帯から寒帯に広く分布し、約50属1400種知られるが、オーストラリアにはほとんどみられない。酸性土壌を好む傾向が強く、岩地や風当りの強い場所に生えるものが多い。変異が多く、4亜科に分類される。
ツツジ亜科は5個の胎座がそれぞれ2裂し、胎座全体に胚珠がつく。雄しべは付属体がない。離生する3枚の花弁があるホツツジ属、花冠が鐘形のツツジ属(サツキなど)、筒形のツガザクラ属などがある。イワナシ亜科は果期に胎座が肥厚して液質になるのが特徴で、イワナシ属のみからなる。スノキ亜科は5個の胎座は2裂せず、普通は上半部のみに胚珠がつき、雄しべは背面に付属突起があるか、葯(やく)の先が細く伸びる。ドウダンツツジ属(サラサドウダンなど)、ヒメシャクナゲ属、シラタマノキ属、ネジキ属、アセビ属、スノキ属など多くのものがこの亜科に入る。エリカ亜科の花は一般に4数性、雄しべには普通はリボン状の付属体がある。エリカ属、カルーナ属があり、ヨーロッパ北部のヒース草原の主要植物である。
ツツジ、シャクナゲ、カルミアなど多くの園芸植物がある。またスノキ属の果実からはジャムをつくり、ウワウルシは薬用として知られるなど有用植物も多い。
[山崎 敬 2021年4月16日]
APG分類でもツツジ科とされる。従前のイチヤクソウ科とガンコウラン科はツツジ科に統合された。この分類による2018年のデータによると世界に約125属4100種があり、日本には27属が自生する。
[編集部 2021年4月16日]