ティーネマン
てぃーねまん
August Thienemann
(1882―1960)
ドイツの陸水学者、淡水生物学者。1910年代にライン川中流地方の小火口湖の研究から、湖の深さと溶存酸素、底生ユスリカの種類との関係をみいだした。これは、その後の湖沼類型の基本となった。プリョン陸水生物研究所所長となり、キール大学教授をも務めた。1922年に発足した国際理論応用陸水学会の発起人の一人で、のちに会長も務めた。中部ヨーロッパの湖沼研究のほか、スンダ列島の陸水調査(1928~1929)を行い、熱帯の湖沼研究の基礎をもつくった。論文・著書は約460編に及び、近代陸水学のなかで重要な位置を占めている。
[新井 正]
『上野益三著『陸水学史』(1977・培風館)』
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ティーネマン
August Friedrich Thienemann
生没年:1882-1960
ドイツの陸水生物学者。プレーン陸水生物学研究所長。1910年代より20年代にかけ,スウェーデンの陸水学者E.ナウマンとともに,湖沼分類法の基礎をつくった。国際陸水学会を組織し(1922),初代会頭をつとめる。水中での栄養の循環における生産者,消費者,分解者の役割分担を明らかにする(1926)など,栄養動態論の基礎となる研究を行った。ユスリカ類の生態,分布についての広範な研究もある。《ヨーロッパの淡水動物分布史Verbreitungsgeschichte der Süsswassertierwelt Europs》(1950),《生活と環境Leben und Umwelt》(1956)など著書多数。
執筆者:市村 浩
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「ティーネマン」の意味・わかりやすい解説
ティーネマン
ドイツの湖沼学者。1917年ホルシュタインのプレン臨湖実験所長,1924年キール大学教授。北ドイツの湖沼を調査して湖沼標式の研究を大成。1921年E.ナウマンとともに湖沼標式の論文を発表,総合湖沼学を体系づけた。1922年国際陸水学会を組織,会長となった。
→関連項目湖沼学
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ティーネマン
生年月日:1882年9月7日
ドイツの湖沼学者,動物学者
1960年没
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のティーネマンの言及
【生態系】より
…生物的要素は生産者,消費者および分解者の三つに大別される。この命名はドイツの陸水学者ティーネマンA.Thienemannによるもので,生物群集を種という概念にとらわれず,主要な機能的側面を重視して位置づけている。(1)生産者producer 無機物を材料として有機物を合成することができる生物または生物群。…
【湖沼】より
…これに対し,平野部の植物プランクトンの生産の高い湖では,深層水は酸素量が少なく,オオユスリカなどのヘモグロビンをもち低酸素環境に耐えられる底生動物が優占している。ドイツのティーネマンは,このように植物の生産と深層水中の酸素量,底生動物の種構成の間に密接な支配関係があることから,前者の湖をタニタルサス型(指標となる底生動物名),後者をキロノマス型として,湖を二つの型に分けた。
[湖沼型]
山間にある深くて湖水が美しく澄んでいる湖では,一般に水中に栄養塩が乏しく植物の生産活動は著しく低い。…
【生態系】より
…生物的要素は生産者,消費者および分解者の三つに大別される。この命名はドイツの陸水学者ティーネマンA.Thienemannによるもので,生物群集を種という概念にとらわれず,主要な機能的側面を重視して位置づけている。(1)生産者producer 無機物を材料として有機物を合成することができる生物または生物群。…
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