テロ対策特別措置法(読み)テロタイサクトクベツソチホウ

デジタル大辞泉 「テロ対策特別措置法」の意味・読み・例文・類語

テロたいさく‐とくべつそちほう〔‐トクベツソチハフ〕【テロ対策特別措置法】

《「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」の通称》平成13年(2001)9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに、国際的なテロリズムの防止・根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与し、日本を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として定められた法律。国連安全保障理事会決議が、国際テロリズムの行為を非難し、国連加盟国に対しその防止のために適切な措置をとるよう求めていることを根拠に定められた。平成19年(2007)11月失効。テロ特措法テロ対策特措法
1に代わって制定された補給支援特別措置法の通称。

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百科事典マイペディア 「テロ対策特別措置法」の意味・わかりやすい解説

テロ対策特別措置法【テロたいさくとくべつそちほう】

正称は〈平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法〉。2001年10月,改正自衛隊法,改正海上保安庁法とともに成立。2年間の時限立法だが延長も可能(2003年10月,さらに2年間延長する改正案が成立)。同年の9.11事件を受け,テロに対する軍事行動を後方支援することを主眼とする。同法の成立により,自衛隊戦時に海外派遣することが可能となった。2014年,集団的自衛権行使容認を閣議決定した安倍内閣は,2015年安全保障法制議論を開始,政府が自衛隊をいつでも派遣できるようにする恒久法(一般法)制定の姿勢を鮮明にした。自衛隊をインド洋に派遣したテロ特措法やイラク特措法より軍事行動の中身を一気に拡大させる狙いがある。しかし,どのような事態を想定して恒久法が必要なのか具体例が示されておらず,連立与党公明党からも異論が出されている。
→関連項目小泉純一郎内閣日本

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知恵蔵 「テロ対策特別措置法」の解説

テロ対策特別措置法

2001年9月11日に発生した米国での同時多発テロで、同月19日、小泉首相は米軍の報復攻撃を自衛隊が後方支援する方針を発表、10月7日の米軍のアフガニスタン爆撃開始後の同月29日、テロ対策特別措置法が成立した。これは自衛隊が、公海上と相手国の同意を得た外国領域で、米軍その他テロの脅威の除去に努める外国軍に物品・役務を提供したり、戦闘による遭難者の捜索救助、被災者の救援などを行えるようにしたもの。自衛隊自体には自分や他の隊員、管理下に入った者の生命身体の防護以外は武器を使わず、武力行使や威嚇に当たらない活動しか行わないこと、当初は有効期間は2年とすること(さらに2年の延長可能)を定めていた。海上自衛隊は11月9日、護衛艦「くらま」など3隻をまずインド洋へ派遣、同25日に補給艦「とわだ」など3隻が出航した。その後も交代で補給艦2隻と護衛艦3隻程度がインド洋で米海軍などの艦船への給油に当たったが、05年には削減した。本来、テロ活動と、米国が支援したイラクのクルドなど「自由の戦士」や外国軍の侵攻に抵抗するレジスタンスとを客観的に区別することは難しく、テロの定義が問題である。03年10月テロ特措法を2年延長、05年10月と06年10月に、さらに1年ずつ延長したが、07年7月の参議院選挙で与野党が逆転したため再延長は通らず、補給艦「ときわ」と護衛艦「きりさめ」は11月活動を中断、帰国した。それを再開するための「補給支援特措法」は08年1月11日参議院で否決されたが、即日衆議院で3分の2以上の賛成で再議決し、成立した。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)

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