翻訳|Taliban
内戦状態だったアフガニスタンで1994年、イスラム原理主義の神学生らが「世直し」を唱えて結成した武装集団。96年に政権を樹立したが、2001年の米中枢同時テロで国際テロ組織アルカイダ指導者ビンラディン容疑者の引き渡しを拒み、米英軍の攻撃で政権が崩壊した。その後、勢力を盛り返し、駐留米軍撤退完了を控えた21年8月15日に復権。閣僚の大半は母体となっている民族パシュトゥン人。女性はおらず、国際社会は暫定政権を承認していない。(カブール共同)
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アフガニスタンを中心に活動するイスラム過激派組織。宗教的・政治的・経済的目的のためにテロ、殺人、暴力、誘拐をいとわないスンニー派武装勢力である。Taliban(Taleban)とは、アフガン人(パシュトゥン人)の言語であるパシュトー語で「イスラム教を学ぶ神学生、求道者」の意味。1994年、アフガニスタン南部で誕生し、イスラム原理主義による国家統治を掲げ、1996年にアフガニスタン・イスラム首長国(The Islamic Emirate of Afghanistan)を樹立した。しかしアメリカ同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディンをかくまったとして、2001年、アメリカを中心とする国際有志連合軍によるアフガニスタン侵攻で政権の座を追われた。その後、アフガニスタン政府や外国駐留軍への抵抗を続け、2021年、アメリカ軍の全面撤退を機に政権を再奪取した。日本の公安調査庁によると、アフガニスタン全域のほかパキスタン西部などに勢力を広げ、勢力の総数は約10万人。
[矢野 武 2022年2月18日]
旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗したアラブ諸国義勇兵(ムジャヒディン)同士の争いが激化するなか、1994年、初代最高指導者となったムハンマド・ウマルが神学生を中心に武装グループを組織してタリバンが誕生した。もともと、神学生の世直し運動として始まり、欧米への明確な敵意をもってはいなかったが、1997年にオサマ・ビンラディンらを保護下に入れてその世界観に影響され、欧米諸国や国連に対して挑発的な態度をとるようになった。1996年以降2001年までの政権掌握時には、国際社会の意見に耳を貸さず、民主主義を否定し、偶像崇拝、女性の教育、飲酒、音楽鑑賞などを禁じ、世界遺産のバーミヤン仏教遺跡群の一部を爆破した(1998)。2021年の政権奪取後は、かつてアメリカ軍の侵攻で政権を追われた経験から、アメリカ、ロシア、中国などと外交協議も展開しているが、イスラム法に基づく宗教警察「勧善懲悪省」による市民監視や取締りを続けている。アフガニスタン南部・ヘルマンド州を主要拠点とし、全34州に統治機構をおく。
[矢野 武 2022年2月18日]
イスラム過激派である「パキスタンのタリバン運動」の拠点がある。2007年発足。タリバン支持勢力の連合体で、イスラム法による統治やパキスタン政府・軍の打倒を目ざす武装集団である。現地ウルドゥー語での名称(Tehrik-e Taliban Pakistan)は「パキスタンの学生運動」を意味し、略称TTPのほか、「パキスタンのタリバン」「パキスタンのタリバーン運動」などと表記される。日本の公安調査庁によると、武装勢力の人数は3000~5000人。アフガニスタンのタリバンと密接な関係にあり、パキスタン政府・軍の関連施設、政党関係者、教育関係者、アメリカや同国を支援する諸国の施設を攻撃対象にテロ活動を繰り返し、アメリカ、国連などはテロ組織に指定、制裁対象としている。女性の社会進出や女子教育を敵視し、2012年には、女子学生マララ・ユスフザイ(2014年にノーベル平和賞受賞)を銃撃した。
[矢野 武 2022年2月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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