化学辞典 第2版 の解説
ディールス-アルダー反応
ディールスアルダーハンノウ
Diels-Alder reaction
ジエン合成ともよばれる.共役二重結合に,二重結合または三重結合をもった化合物(ジエノフィルという)が1,4-付加して六員環化合物を生成する反応.
ジエノフィルとしては,無水マレイン酸,p-ベンゾキノン,クロトンアルデヒド,アクリロニトリル,テトラシアノエテンなど,二重結合の炭素原子に電子求引性基が結合したものが反応しやすい.反応は可逆的で,加熱または電子衝撃によりジエンとジエノフィルに解離することがある(逆ディールス-アルダー反応(retro Diels-Alder reaction)という).ディールス-アルダー反応は,4π電子系(ジエン)と2π電子系(ジエノフィル)の[4+2]付加環化反応で,協奏的に進行する.立体選択性や位置選択性が高いのは,ウッドワード-ホフマン則やフロンティア電子論で説明される.また,ジエンとジエノフィルの不飽和結合(π電子)が立体的になるべく重なるような位置をとってシス付加によって反応が進む.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報