トゥルカナ(英語表記)Turkana

改訂新版 世界大百科事典 「トゥルカナ」の意味・わかりやすい解説

トゥルカナ
Turkana

ケニア北西部からエチオピア南西部に至る大地溝帯の低地の名称であり,中心に南北250kmに及ぶトゥルカナ湖(かつてはルドルフ湖と呼ばれた)があり,周辺に猿人原人化石を産出する多くの遺跡群が散在する。中新世から更新世に至る堆積層が広く露出していて,多くの人類化石が発見されている。1960年代以降,ハウエルF.C.Howellたちによって北部のオモOmo地域で調査がなされ,アウストラロピテクスパラントロプス,初期ホモの化石が発見された。リーキー.Leakeyが,その調査の際にヘリコプターによって東トゥルカナ地域を訪れ,化石発見に有望と判断したという逸話がある。1970年代には,リーキーたちが東トゥルカナのクービ・フォラなどで調査を行い,パラントロプス・ボイセイ頭骨化石(KNM-ER 406,407,732)やホモ・ハビリスの頭骨化石(KNM-ER 1470,1813),ホモ・エルガスターの頭骨化石(KNM-ER 3373,3883)を発見した。1980年代には,ウォーカーA.Walkerが主導して,西トゥルカナで調査が行われ,ナリオコトメNariokotomeでホモ・エルガスターの少年骨格化石(KNM-WT 15000。通称トゥルカナ・ボーイ,あるいはナリオコトメ・ボーイ),ナチュクイNachukuiでパラントロプス・エチオピクスの頭骨化石(KNM-ER 17000)が発見された。その後,リーキーの妻のリーキーM.G.Leakeyが調査を主導し,1990年代には西トゥルカナのカナポイKanapoiでアウストラロピテクス・アナメンシスの下顎骨化石など(KNM-KP 29281),また2000年代には東トゥルカナのイルレットIleretでホモ・エレクトスの小さな頭骨(KNM-ER 42700)などを発見している。なお,ロサガムLothagamでは,1967年に約500万年前の下顎骨片が発見されているが,人類の祖先かどうかわからない。クービ・フォラKoobi ForaのKBS火山灰層は,年代が188万年前と推定され,広汎に分布するので,この地域全体の年代の指標となっている。
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百科事典マイペディア 「トゥルカナ」の意味・わかりやすい解説

トゥルカナ[湖]【トゥルカナ】

アフリカ大地溝帯,ケニアの北端にある湖。旧名ルドルフ湖。南北約250km,東西の最大幅約56kmの細長い湖で,面積約8660km2。湖面標高427m,水深約73m。キビシュ川,オモ川,タークウェル川などが流入するが,排水河川はなく,塩分がある。周辺には牧畜民トゥルカナ人が住む。魚類が豊富で,ワニカバなどが生息。東岸,北岸から猿人骨や石器が出土した。東岸のシビロイ国立公園と湖の中央島は生物多様性に富み,1997年世界自然遺産に登録された。
→関連項目アフリカ

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