トゥルグムレシュ(その他表記)Tîrgu Mureş

デジタル大辞泉 「トゥルグムレシュ」の意味・読み・例文・類語

トゥルグ‐ムレシュ(Târgu Mureş)

ルーマニア中央部の都市トランシルバニア地方東部ムレシュ川沿いに位置する。14世紀以降、交易拠点として発展。その当時から現在に至るまで多くのハンガリー人が居住する。近郊天然ガス田があり、社会主義政権時代に工業化が進められた。大学や交響楽団を擁する文化都市としても知られる。14世紀の要塞教会、15世紀の城砦などの歴史的建造物ほか、20世紀初頭に建造された市庁舎や文化宮殿がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「トゥルグムレシュ」の意味・わかりやすい解説

トゥルグ・ムレシュ
Tîrgu Mureş

ルーマニアの,カルパチ山脈に囲まれたトランシルバニア盆地の東部,ムレシュ川上流に位置するムレシュ県の県都。人口14万7734人(2005)。周辺からは,紀元前石器青銅器鉄器が出土し,またダキア人やローマ人の使用した土器類が発見されるが,記録文書に現れるのは1332年以降である。当時この地域には,ルーマニア人とハンガリー人(セーケイ人)とが共存し,交易都市として栄えていた。その後,セーケイ人の多数居住する都市として発展した。現在,機械金属化学肥料,木材,繊維,食品などの工業が発達する。医薬科大学,高等師範学校,国立劇場,演劇研究所,人形劇団,交響楽団などがある。〈テレキ〉〈ボルヤイ〉など著名なセーケイ人の名を冠した文書館や博物館がある。また町の中心部には,15~17世紀に建造された城をはじめ,バロック様式の建築物や木造教会などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥルグムレシュ」の意味・わかりやすい解説

トゥルグ・ムレシュ
とぅるぐむれしゅ
Târgu Mureş

ルーマニア中央部、ムレシュ県の県都。トランシルバニア東部、ムレシュ川上流にある。人口14万9577(2002)。1989年のチャウシェスク社会主義政権崩壊後、ルーマニア語は1945年以前の表記法に戻り、それに従いトゥルグ・ムレシュも社会主義時代に使用されたTîrgu Mureşから、Târgu Mureşに戻った。機械、金属、化学肥料、繊維、食品、木材、家具などの工業が発達している。大学や高等教育機関、劇場、交響楽団のある文化都市。14世紀以後、ルーマニア人とハンガリー人が共存し、交易都市として発展した。15世紀の城や18世紀の木造教会が残る。紀元前の石器も出土する。

[佐々田誠之助]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥルグムレシュ」の意味・わかりやすい解説

トゥルグムレシュ
Tîrgu Mureş

ルーマニア中部,ムレシュ県 (面積 6696km2。人口 60万 7300〈1992推計〉) の県都。ハンガリー系のセクイ人 (セクラー人) 居住地域の中心で,住居もハンガリー系が過半数を占める。ムレシュ川にのぞみ,トランシルバニアの行政上の一中心地として発展した。第2次世界大戦後,近郊に天然ガスが発見され,工業都市としての発展がめざましく,水力・火力発電所,化学,製材,家具,繊維,化学肥料の工場が立地。医科大学,工業大学その他の文教施設がある。人口 16万 3625 (1992推計) 。

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百科事典マイペディア 「トゥルグムレシュ」の意味・わかりやすい解説

トゥルグ・ムレシュ

ルーマニア中北部,トランシルバニア地方の都市。ムレシュ川沿岸の学術・文化都市。化学コンビナートがあり,電機・電子・機械・繊維などの工業が行われる。周辺では天然ガスが採出。住民の約50%がマジャール系。紀元前の出土品も多く,文書館や博物館がある。13万4000人(2011)。

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