ドリトル先生物語(読み)どりとるせんせいものがたり(その他表記)The Story of Dr. Dolittle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドリトル先生物語」の意味・わかりやすい解説

ドリトル先生物語
どりとるせんせいものがたり
The Story of Dr. Dolittle

イギリス生まれのアメリカ児童文学作家ロフティングの童話。温厚で風変わりな動物医者ドリトル先生が、オウムポリネシアから動物語を学び、サル伝染病を治しにアフリカに出かける話を皮切りに、奇想天外に繰り広げられる愉快な冒険物語。『ドリトル先生アフリカ行き』(1920)以下、12巻の連作になっている。いずれも動物愛護精神に立脚しているが、押し付けがましさがなく、独特のユーモアにあふれている。日本では戦前から井伏鱒二(いぶせますじ)訳で知られ、子供たちに親しまれている。

[八木田宜子]

『井伏鱒二訳『ドリトル先生物語全集』全12巻(1961~62・岩波書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ドリトル先生物語」の意味・わかりやすい解説

ドリトル先生物語 (ドリトルせんせいものがたり)
The Story of Doctor Dolittle

イギリス生れのアメリカの児童文学者ロフティングHugh Lofting(1886-1947)作。全12巻。1920-53年刊。オウムのポリネシアに動物語を教わったイギリスのパドルビーの風変りな医者・博物学者ジョン・ドリトルが,猿の伝染病治療のためアフリカに赴くのが第1巻(《ドリトル先生アフリカ行き》1920)。第1次大戦中戦地から自分の子どもたちに書き送った手紙をもとにして生まれたこの奇想天外な空想科学冒険物語は,自筆挿絵とともに世界中の少年少女を楽しませ,生命の尊さと愛の美しさを教え続けている。第2巻はニューベリー賞受賞。井伏鱒二による邦訳がある。
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百科事典マイペディア 「ドリトル先生物語」の意味・わかりやすい解説

ドリトル先生物語【ドリトルせんせいものがたり】

ロフティングHugh Lofting〔1886-1947〕作の空想物語シリーズ。《The Story of Doctor Dolittle》。1920年―1953年刊。動物好きの医師ドリトル先生Dr.Dolittleが動物語を覚え,オウム,アヒルフクロウ,犬,ブタ,サル,シロネズミなどとともに,かわいそうな動物を助け,種々の冒険をする物語。作者の死後まとめられた作品を含めて12巻ある。さし絵も作者自身のもの。井伏鱒二による邦訳により日本でも親しまれている。
→関連項目ロフティング

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドリトル先生物語」の意味・わかりやすい解説

ドリトル先生物語
ドリトルせんせいものがたり

イギリス生れのアメリカの童話作家ヒュー・ロフティングの一連の童話集。『ドリトル先生アフリカゆき』 The Story of Dr. Dolittle (1920) から死後出版の『ドリトル先生の楽しい家』 Dr. Dolittle's Puddleby Adventures (53) まで,作者が挿絵も描いた 12冊のシリーズ。作者は第1次世界大戦に従軍した際,傷ついた軍馬が銃殺されるのを見て心を痛め,動物の言葉がわかる医者で博物学者のドリトル先生なる人物を思いついたという。おうむのポリネシア,犬のジップ,あひるのダブダブ,豚のガブガブなど,個性豊かな動物たちも登場し,ユーモラスで心あたたまる作品として,おとなにも親しまれている。日本では井伏鱒二の名訳で知られる。

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